【上野の森で ンク展~ ンチと書いて ンク】
前衛。
この前、フェルメール展を見たかと思ったら、今度は ンク展 。例のフィラデルフィア美術館展を二度ほど見てから、すっかり美術づいているソウル・サーチャーとその仲間たち。「ソウル・サーチン美術部・第3回」は上野の西洋美術館でやっている「 ンク展」。いつも通りソウル・サーチャー岡伸先生のお話を聞きながら、各作品を見て回るというもの。第1回はフィラデルフィア美術館展、第2回はフェルメールの「牛乳を注ぐ女」ほか、そして第3回は初の一人のアーティストにスポットをあててじっくり見る ンク展 。
生徒8人、先生1人で冬にしてはちょっと暖かい上野の森午後2時。岡先生、前回の予告から「あんまりしゃべること、ないんですけどえ」とか「いやあ、どうして ンクがこんなに日本で人気があるのかわからないんですよえ」と比較的ネガ系(ネガティヴ系)コメントをくちずさむ西洋美術館。前回かなりき疲れたM氏、この日は満を持して「万計」持参!
ンチ(Munch)と書いて ンク。 ンクは本名エドヴァルド・ ンク、1863年12月12日ノルウェイ生まれ、1944年1月23日80で去。一番有名なのは「叫び」という作品 。(←画像左)
岡先生曰く。「彼の最大の特徴は『フリーズ(Frieze)』という手法です。絵画 けでなく、その部屋の例えば、柱、背より高い2メートルくらいの高さのところに帯状に作品を作ったりして、全体で装飾的に作品を作るというやり方です」 フリーズ(Freeze)というので、「まれ」とか、「動くな」「凍る」っていう意味かと思ったら、スペルが違った。へえ。 ンクのアトリエも上部の方にも絵が飾られて、部屋全体が装飾的になっている。
先生が月とそれが水面に る描き方がいつも同じ ということを説明する。そのときに、実際の絵のその部分を指差した。するとすかさず、係りの人がやってきて、「あまり近づかないようにお願いします」。イエーカード1。
岡先生曰く。「大体、暗いんですよ。ちょうど、 ンクというのは、1960年代後半に起こったフラワー・ ーヴメントなどの動きと近いものがあるかもしれません。管理社会へのアンチテーゼ的なものです」 へえ。ということは、メインストリー に対してのオルタナティヴ的な人なんです。
岡先生曰く。「(美術の都、心地)パリにはほんの少ししかいませんでした。あとは(出身地の)ノルウェイにいます。それから彼はいつも不倫して、アルコール依症で…」 ノルウェイ、反体制、不倫で女好き、アルコール依症。ということは、マーヴィン・ゲイ? 「いやあ、ちょっと違います」 あるいはオルタナティヴっていうことで、プリンス? 横から「吉岡さん、なんでも昔の画家をプリンスとかマーヴィンでたとえようとするのやめてく さいよ(苦笑)。毎回、同じなん から。今日は、みんな吉岡さんが言うことにからみますよ。全部、落穂拾いしてきますから(笑)」とM氏。「しいていえば、パンクってことで、セックス・ピストルズですかえ。前衛も前衛です」と岡先生。ひとしきり解説も熱が入ってきたところで、一般のお客さんから「ちょっと静かにしていた けますか」。イエーカード2。
岡先生曰く。「 ンクは、彼女のほかにいつも何人かの女性の影がありました。そうしたものが、彼の作品にも登 しています。『嫉妬』という作品などそれを象徴した作品かもしれません。それから、たとえば、 ンクは何人も人の絵を描いていますが、彼が描く人は絶対に処女ではない、と言えますよ」へえ。な~るほど。
岡先生曰く。「ゴーギャンは、(物を)見なくても描けますよ、という立 で、一方、ゴッホは見ないと描けませんという風に対立してたんです。で、 ンクはゴーギャンの影響を受けてました。扱っている題材を象徴的に見せようということになっていきました。例えば、テーマが不安とか愛とかと言った暗いものになっていったんです」
「先生、これは絵は上手なんですか」 「いやあ、上手とは言えないでしょうえ。特に技術的には」 「じゃあ、ヘタウマ?」 「そうかもしれません」
ンチと書いて ンク。いやあ、しかし、こんな講釈をいれながら、何人かで絵を「あー こー 」言いながら見るのは楽しいなあ。やはり、絵画もそれを描いた人のバイオグラフィーなどを徹底して知ってから見るとおもしろい。それはミュージシャンと音楽も同じ 。これ、きっとおもしろい1時間番組にできるんじゃないかな。しかも、これまでの美術愛好家からは酷評されるかもしれないようなかなり 天荒な美術番組 。
次回はここにフライヤーがあったウルビーノの『ヴィーナス』。2008年3月4日から5月18日まで西洋美術館で開催される同展を解説してくれるそう 。
3時間弱、M氏の万計は1200くらいしか進んでいなかった。3時間普通にき続けたら121万にはなるはず が。「結局、いてないん よなあ…」とM氏、その数に愕然と絶望。岡先生も、しゃべるネタないと言いつつ、3時間しゃべり続けた。万計はほとんど回らなかったが、岡さんの口はなめらかに、回り続けていた。おつかれさま~~。
オフィシャル・ウェッブ
http://www.tokyo-np.co.jp/event/bi/munch/
ンク展2007年10月6日から2008年1月6日まで
上野・国立西洋美術館
ENT>ART>EXIHIBITION>Munch, Edvard
Wordpress Search
Archives
- 2009年4月 (13)
- 2009年3月 (31)
- 2009年2月 (30)
- 2009年1月 (31)
- 2008年12月 (31)
- 2008年11月 (30)
- 2008年10月 (31)
- 2008年9月 (30)
- 2008年8月 (32)
- 2008年7月 (32)
- 2008年6月 (30)
- 2008年5月 (31)
- 2008年4月 (30)
- 2008年3月 (31)
- 2008年2月 (32)
- 2008年1月 (31)
- 2007年12月 (33)
- 2007年11月 (31)
- 2007年10月 (32)
- 2007年9月 (32)
- 2007年8月 (32)
- 2007年7月 (31)
- 2007年6月 (30)
- 2007年5月 (31)
- 2007年4月 (30)
- 2007年3月 (32)
- 2007年2月 (30)
- 2007年1月 (32)
- 2006年12月 (33)
- 2006年11月 (31)
- 2006年10月 (31)
- 2006年9月 (30)
- 2006年8月 (31)
- 2006年7月 (32)
- 2006年6月 (26)
- 2006年5月 (31)
- 2006年4月 (30)
- 2006年3月 (31)
- 2006年2月 (28)
- 2006年1月 (32)
- 2005年12月 (31)
- 2005年11月 (31)
- 2005年10月 (15)
- 2005年9月 (30)
- 2005年8月 (31)
- 2005年7月 (31)
- 2005年6月 (32)
- 2005年5月 (32)
- 2005年4月 (31)
- 2005年3月 (31)
- 2005年2月 (30)
- 2005年1月 (35)
- 2004年12月 (31)
- 2004年11月 (30)
- 2004年10月 (31)
- 2004年9月 (31)
- 2004年8月 (33)
- 2004年7月 (32)
- 2004年6月 (33)
- 2004年5月 (33)
- 2004年4月 (30)
- 2004年3月 (36)
- 2004年2月 (32)
- 2004年1月 (32)
- 2003年12月 (34)
- 2003年11月 (30)
- 2003年10月 (32)
- 2003年9月 (30)
- 2003年8月 (32)
- 2003年7月 (34)
- 2003年6月 (30)
- 2003年5月 (34)
- 2003年4月 (34)
- 2003年3月 (35)
- 2003年2月 (31)
- 2003年1月 (32)
- 2002年12月 (31)
- 2002年11月 (17)
- 2002年10月 (23)
- 2002年9月 (7)
- 2002年8月 (3)
- 2002年7月 (4)
- 2002年6月 (4)
メタ情報