【Jファンク・オール・スターズ~いつの日にかグルーヴの元にワンネーション】
Jファンク。
どこからともなく、日本で活躍するファンク・グループがいくつか集まって三軒茶屋のライヴハウスでライヴをやるらしいという情報が入ってきた。最近の日本の若手ミュージシャンたちの頑張りぶりというのはなかなかのものだ。いろいろ調べてみると、三茶のグレープフルーツ・ムーンというライヴハウスで行われる「フリーファンク・コネクション Vol.13~トリビュート・トゥ・ロジャー・トラウトマン」というイヴェントらしい。出演者の中にソウル・サーチンでもおなじみ尾臺さんの名前もあるではないか。
というわけで、日曜『ソウルブレンズ』を終えて、三茶に飛んだ。この日は3つのグループが登場。
まず、ギャラクシー・ダイナマイツというPファンク系のバンド。ドラムス、ギター2、ベース、キーボード、3管(サックス、トランペット、トロンボーン)、女性コーラス4、さらにヴォーカルの計13人編成。
大型バンドで、ファンカデリックの「フリー・ユア・マインド」と「レッツ・ゲット・イット・オン・ピープル」の2曲を約30分かけて演奏。
続いてこれまた大型ファンクバンドのフリー・ファンクが登場。こちらもドラムス、ギター、ベース、キーボード、コーラス、トランペット、サックス、トロンボーンの8人組。一度、昨年末のNHKの「ソウル・ミュージック・ライヴ」で見たことがあった。初期ファンカデリックを思わせるのりのグループだ。バーケーズの「ホーリー・ゴースト」などもはさみ、ファンクと若干のロック色をいれたサウンドだ。
そして、その後尾臺さんのトークパートがあったのだが、そこで僕も飛び入りで呼び込まれ、しばし、ロジャー談義に花が咲いた。この中でびっくりしたのが、尾臺さんが渋谷のコミュニティーFMで番組をやっていた時に、ロジャーにインタヴューした際に番組用のジングルを作ってくれと頼んだら、二つ返事でOKをもらい、ライヴ後にワンテークでさらっと作ってくれたという話。その音源をかけた。見事にロジャー節が入ったジングルだった。しかも、これには後日同じようにもらったブッツィーの声もかぶせられ、すごいジングルになっていた。
尾臺さんは若干酔っ払っていたせいかトーク全開。(笑) その後、デイトン・プロジェクトというロジャーの完全コピーバンドが登場した。これは、トークボックスを操るシュータロウさん率いる4人組。シュータロウさんはやはり昨年末の「ソウル・ミュージック・ライヴ」でも圧巻のライヴを見せていたが、バンド形態で見るのは初めて。
いやあ、これはすごかった。完全なるロジャーの再現。衣装も、音も、そして、なによりそのエンタテインメント精神を見事に引き継いでいた。あそこまでビデオを研究し、そのソウルを自分たちのものにしていればロジャーもきっと天国で喜んでいることだろう。曲にあわせたダンス、振り付け、大げさなパフォーマンス、観客をとりこにするコール&レスポンス、肩車されて歌いあげるパフォーマンスなどなど。しかも、これが驚いたことにバンドの部分はカラオケなのだ。それに乗せて歌とトークボックスを演じるだけで、観客をがっちりつかんだ。
彼らがこのバンドを結成したのは、99年4月25日にロジャーが亡くなった後。シュータロウさんとギター役の本山明響(もとやま・あきひ)さんがロジャーのようなバンドを作ろうということで結成した。トラックの打ち込みなどは基本的に本山さんが超こだわりで作る。これがほぼロジャーのカラオケではないかというような音になっている。彼らはロジャーの4本のビデオ映像を持っていて、それらを日夜研究し、このようなスタイルとなった。だがみなメンバーが忙しいためライヴは年に2回程度だそうだ。
ソウル・ミュージックの中でもこうしたファンクに特化したバンドが日本でもでてきたというところに、ブラック・ミュージックの裾野が広がっているということを強烈に感じる。例えば、今日のギャラクシー・ダイナマイツ、フリーファンク、デイトン・プロジェクトなどのオハイオ・ファンク勢に合わせて、先日見た日本のゴー・ゴー・バンドたち、さらに、アースのコピーバンド、アース・ウィンド&ファイターズ、アース・ウィンド&ファイバー、さらにジェームス・ブラウン・サウンドを踏襲するオーサカ=モノレールなどを集めたら、「ジャパン・ファンク・フェスティヴァル」が堂々と出来るではないだろうかと思った。
そんなことが実現したら、楽しい。こうしたアーティストたちは、これからの時代を担うJファンクの戦士たち、Jファンク・オールスターズといえる。Jファンク・シーンというのがあるかどうかは、まだよくわからないが、少なくとも火種にはなっているような気がする。現時点では、まだみんな「点」の存在だが、そうしたものを「点」と「点」から「線」に結び付けられるとシーンはぐっとおもしろくなっていくことだろう。その時、ファンクの元にワンネーション(ひとつの国=ファンクの国)が誕生する。
■関連記事
February 20, 2006
Washington’s Own “Go Go Sound” Still Alive & Kicking
日本のゴーゴー・バンド・ライヴ評
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200602/2006_02_20.html
ギャラクシー・ダイナマイツのウェッブ
http://gal-axy.com/
デイトン・プロジェクトのウェッブ
http://olive.zero.ad.jp/~zbk13499/
フリーファンクのウェッブ
http://www.freefunkmusic.com/top/index.html
■Setlist
Galaxy Dynamites
show started 19:00
01. Free Your Mind
02. Let’s Get It On, People
show ended 19:29
Free Funk
show started 19:47
01. Move It On Funk
02. Free Funk Shuttle
03. Holy Ghost (Bar Kays)
04. Be Alright
05. Do Your Thing (Osaka Monaurail)
06. ピースのココロ
07. Come On — Knee Deep (Ending)
08. Midnight Jam — Mary Jane
show ended 20:39
Talk session (Sakuratani, Mei-Me, Odai, Yoshioka)
session started 20:57
session ended 21:25
Dayton Project
show started 21:30
01. Dazz (Dazz Band)
02. Intro Rap
03. So Ruff, So Tuff
04. I Can Make You Dance
05. Dance Floor
06. Gin And Juice (Snoop Dog)
07. Whoomp! There It Is (Tag Team)
08. I Heard It Through The Grapevine
09. Doo Wa Ditty
10. Hound Dog (Elvis Presley)
11. Slow And Easy
12. Heart Breaker
13. Computer Love
14. I Want To Be Your Man
15. More Bounce To The Ounce
16. Flashlight
Enc. California Love
show ended 22:20
Free Funk
show started 22:31
Enc. Hard Times ?
show ended 22:39
(2006年4月23日日曜、三軒茶屋グレープフルーツ・ムーン=ギャラクシー・ダイナマイツ、フリーファンク、デイトン・プロジェクト・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Galaxy Dynamites
ENT>MUSIC>LIVE>Free Funk
ENT>MUSIC>LIVE>Dayton Project
2006-80,81,82