Soul Searchin Talking Vol.5 (Part 4)

【「ソウル・サーチン・トーキング」】

最終回。

パーカッションのゲイリー、ヴァイオリンのエドガー、ピアノのケイリブ、そして、シャンティの4人がステージに進んだ。最初はシャンティ以外の3人でやる予定だったものだが、午後のリハでシャンティがヴォーカルで加わることになった曲だ。パーカッションがゆったり始まり、続いてヴァイオリンが入り、ピアノが来た。「アイ・ウォント・ユー」のアコースティック・ヴァージョンだ。これは意外なサウンド構成。ケイリブのアイデアの勝利だ。

一部ではお話できなかったシャンティの告知などを紹介。ふと思ったのだが、シャンティの声ってJウェイヴのDJクリス智子さんの声とか話し方に似てる。そして、今歌った「アイ・ウォント・ユー」のアルバムのジャケットの話を岡さんに披露してもらった。

『アイ・ウォント・ユー』のジャケットの原画を描いたのはアーニー・バーンズという画家。ところで、これが最初リリースされた時にはジャケット中央の文字が原画の「WSRC」から「WMPG」という文字に変わっていた。ラジオ局をもじったものだが、MPGは、マーヴィン・ペンツ・ゲイの頭文字を取ったもの。ところが、これが最近のリイシューものなどでは原画と同じ「WSRC」に戻っているのだ。かなりマニアックな話だ。

松尾さんは『アイ・ウォント・ユー』のジャケットは玄関に飾り、カーティス・メイフィールドのジャケットはベッドルームに飾ってあるそうだ。

そして、続いて飛び入りゲストをご紹介。レコーディングの途中で、抜け出してこちらにいらしていただいた黒沢薫さん。ちょっとだけ打ち合わせした「ディスタント・ラヴァー」。ヴァイオリンもいい感じではいり、エンディングもびしっと決まり、最高にかっこよく終わった。

松尾さん。「黒沢くんさあ、忌憚ない意見言うと、この前のプリンスでやった(ソロライヴでの)ジョン・レジェンド(のカヴァー)より数倍いいよね」 「なんですか(怒)」 「いやあ、それだけこっちは歌いこんだ歴史があるっていうことです。今日来たお客さんはものすごく得をした、と」 「ラジオでも歌ってるし、ライヴでも何度でも歌ってるしね」と僕。しばし、歓談がかなり盛り上がった。

尾臺さんが、「レッツ・ゲット・イット・オン」についての個人的経験を話すと、またこれにまつわるそれぞれの話が登場。そして、この前半はセクシュアルな曲を集めていたのだが、「アイ・ウォント・ユー」から飛び入りの「ディスタント・ラヴァー」をはさんで、「セクシュアル・ヒーリング」と「ジャスト・トゥ・キープ・ユー・サティスファイド」。後者は、アルバム『レッツ・ゲット・イット・オン』に収録されていた作品だ。僕は記憶になかったので、改めて聴いたら、実にいい曲だった。これは、ケイリブの選曲。ケイリブは、毎回このように、まったくのヒット曲ではない作品ながら渋くていい曲を選んでくる。おそらく、今回のセットリストの中でもっとも知られていない1曲だろう。だが、これがヴァイオリンを伴って演奏されるところが実におもしろかった。

そして、これに続いてガッツが登場し、これまた歌いこなれた「レッツ・ゲット・イット・オン」。今30歳のガッツが21歳の時から歌いこんでいる曲だ。ケイリブから「アコースティック・ファンク」の掛け声が。アコースティックでこれだけ聴かせてくれるっていうのは、さすがだ。

この時点でかなり時間が押してきて、ケイリブが次の曲を3曲メドレーを2曲メドレーにしてくれた。当初は10時半すぎ終わりをメドにしていたが、それはどう転んでも無理で、それなら11時までには終わらせたいと思うようになっていた。それにしても、どのライヴパフォーマンスも聴き応えがあって嬉しい。本来ならここで、ヴィデオで72年の『セイヴ・ザ・チルドレン』をかける予定だったが、時間がなくなり、これもカット。そして本編最後の曲へ。

「エイント・ノー・マウンテン」だ。これを木下航志君、ブレンダ・ヴォーンのデュエットで。曲に行く前に、映画『ステップママ(邦題、グッドナイト・ムーン)』で使用されたシーンと、タミー・テレルとマーヴィン・ゲイが歌う映像を紹介して、航志君たちが歌った。観客はもう総立ちになっていた。この曲は映画『天使にラヴソングを』でも使われたこともあり、日本でもかなり人気だ。

そして、アンコールは全員で「ホワッツ・ゴーイング・オン」。今度はケイリブがリードを取り、歌を次々といろいろな人が歌いジャムセッションを繰り広げた。

最後に重大発表。「『ソウル・サーチン・トーキング』は、今回で最終回になります」 (観客からえ~~?) 「でも、大丈夫です。次回以降は、『ソウル・サーチン・ザ・セッション』と題してお送りします。すでにご覧になったように、次々と日本のすぐれたミュージシャンたちがこのイヴェントに参加してくれるようになって、これからはライヴのほうに軸足を少しだけ移そうかなという感じですが、だからといってトークが手薄になるわけではありません。『ソウル・サーチン・ザ・セッション』の記念すべき第一回は、7月1日にここブルースアレーで行います。4月1日はマーヴィンの命日でしたが、7月1日の命日は・・・ルーサー・ヴァンドロス! (歓声) 正式告知は、月末か来月頭になるかと思いますが、いち早く予約されたい方はいつものアドレスにメールを送っていただいてもけっこうです」 ということで、次回予告もしつつ、ケイリブのCD、木下君のCDの告知、「ゴスペラーズは現在レコーディング中でシングルは初夏までにはでると思います」というコメントも飛び出て、大盛況のうちに幕を閉じた。それにしても、盛り上がってよかった~~。今までで一番盛り上がったようだ。第二部は1時間50分以上になっていた。言ってみればライヴを2本見たような感じだ。おつかれさま~~。

(2006年4月1日土曜、目黒ブルースアレー=ソウル・サーチン・トーキング~マーヴィン・ゲイ)

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