【驚異の新人ジャズ・ピアニスト、オースティン・ペラルタ】
射抜き。
本当は今週土曜の『ソウル・サーチン』の準備でかなりおおわらわなのだが、新人ジャズピアニスト、オースティン・ペラルタのライヴに強力に誘われていたので、さくっと行くことにした。実は紙資料も、CDも届いていたのだが、ぜんぜん手付かず、予備知識なしでライヴに参戦。
入口に入ると、ちょうど音が始まりだした。ジャズのピアノトリオだ。最初後ろの席に案内されたが、前もあいていたので、前に移してもらった。すると、彼らトリオの音がよく聴こえてきた。なんかすごく若そうな子がピアノを弾いている。そうだ、15歳とかいう触れ込みだった。
演奏は、15歳なんて思えない、20代半ばには思えた。もうプロというか、演奏マナーも堂々としたものだった。いかついベース君は、かなりアグレシヴだ。そして、ドラマーもなかなかのイケメン。
演奏は時に攻撃的で、しかし、クール。時折マッコイ・タイナーばりの爆発を見せる。マッコイの要素、ハービーの要素が存分に出てくる。
終わった後、ちょっとだけ話をする機会があった。オースティンは1990年10月25日生まれ。現在15歳。平成2年生まれだ。おおおっ。オースティンの好きなピアニストは多数いるが、ハービー・ハンコック、マッコイ・タイナーだという。どちらとも会って話をしたことがある、という。そしてこう付け加えた。「ハービーには自分のアルバムで『セカンド・キーボード』として、ゲストででてもらいたいと思ってるんだ」
そのセリフを聞いてぶっとんだ。セカンド・ピアノ(2番目のピアノ=もちろん、主役は自分)というところがすごい。大御所、ハービーを使ってしまうのだ。ハービーにはアコースティックではなく、ローズを弾いてもらいたい、という。はっきりしている。ハービーのアルバムで好きなものはと尋ねると初期のものとの答え。『ヘッドハンターズ』あたりは、と問うと「あんまり好きじゃない」。はっきりしている。
ベースのティグラン・ナーシスシアンは、1984年7月19日生まれ。21歳。好きなベースはレイ・ブラウン、チャーリー・ミンガス。そして、ドラムスのジェイク・ブロッシュは1989年6月3日生まれ。平成元年生まれ、16歳。みんななんという若さだ。ドラムとピアノは高校生じゃないか。
下手をすると、きれいな男の子というヴィジュアルで、ルックスから売れてしまう可能性もあるが、それ以上にしっかりとしたひとりのリアル・ミュージシャンであるところが素晴らしい。最近の若い者は、航志くんといい、このオースティンといい、すごいね。(笑) やはりこれは「天才」と呼んでいいのだろう。ここでの3人は皆地元が一緒で、ジャズフェスのようなもので知り合ったという。
アルバムのプロデューサーの伊藤八十八(いとう・やそはち)さんがいらしたので一言尋ねた。デモテープを聴いた時は14歳だったわけだが、もし、その音が25歳だったら、やはり契約しましたか。「しましたね。音が何しろすごかったですから。で、14歳と聞いて、もっと驚いて。確かに14歳だからという部分もなくはありませんが、実際は年齢は関係ないですよ」
彼の元から出るレーザー光線のような白い光りが一直線に僕を射抜いた。おそらく、そのレーザー光線は会場中のオーディエンスを突き刺したことだろう。
(ライヴはまだあります。4月1日青山ボディー&ソウル、3日新宿ダグ、4日舞浜イクスピアリ、5日六本木アルフィー。興味ある方は、各店舗へお尋ねください)
Setlist ( )内はオリジナルアーティスト名。
show started 19:33
01. Straight Up And Down (Chick Corea)
02. Maiden Voyage (Herbie Hancock)
03. Spain (Chick Corea)
04. Passion Dance (McCoy Tyner)
05. Shadow Of Your Smile (standard)
06. Green Dolphin Street (standard)
Enc. Passage (Austin Peralta’s original)
show ended 20:30
■メンバー
Austin Peralta(p)Tigran Nersissian(b)Jake Bloch(ds)
■デビューアルバム
『オースティン・ペラルタ/処女航海』(ヴィレッジVRCL 18831)
(2006年3月29日水曜、渋谷ジェイジー・ブラット=JZブラット=オースティン・ペラルタ・トリオ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Peralta, Austin
2006-61
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