【もうひとりの四半世紀ソウルシンガー、円道一成】
継続。
先月も深町純さんのライヴでお会いしたヴェテラン・ソウルシンガー、円道一成さんが自分のソロライヴを行うというので、足を運んだ。最初に会ったのは2003年11月のこと。
2003/11/30 (Sun)
Album Between Elbert & Errison
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200311/diary20031130.html
かつてのRCAからでたアルバム『ミッドナイト・ランナー』というのを持っていて、突然、深町さんライヴに登場してびっくりしたのだが、その時一成さんは「スタンド・バイ・ミー」を歌って、アートカフェの空気をぜ~~んぶ持っていった。その彼のソロライヴを見たことはなかったので大いに期待して行った。
いやあ、よかった。これは、ソウル・サーチャーとしては改めて応援しないとと思った。選曲もソウルファン向け、そして、ステージマナーも、実にうまく、観客とのやりとりも、また、ミュージシャン同士の自由なやりとりも、もう文句ない。四半世紀ソウルを歌い続けているその年輪と力量がすべてステージに表現されていた。
彼がデビューした時、「日本のウィルソン・ピケット」というキャッチフレーズで売り出されたことを思い出す。そんなわけで、今回のライヴは、ピケット死去を受けての「トリビュート」的色彩もあった。
いきなり、「イン・ザ・ミッドナイト・アワー」「ムスタング・サリー」とピケットで来た。ソウルフルな歌声が実に気持ちいい。しかも、バックのはたけやま裕さんのパーカッションが見事。まさに日本のシーラEだ。はたけやまさんは、一成さんと今回が初めてだそうだが、このコンビネーションはまちがいない。こういうソウルフルな曲のバックでやると、パーカッションは本当にいきいきする。そして、ジェームス・ブラウン。サム&デイヴ。サム&デイヴの「僕のベイビーに何か」では、観客にサビ部分を歌わせる。この中でひとり、女性でめちゃくちゃうまい人がいて驚いた。ミスKという人だそうだ。
ファーストとセカンド、ダブリ曲は1曲もなし。「ダンス天国」で大いに盛り上げたあとアンコールで「ヴィーナス・ブリッジ・ハイウェイ」という曲を歌った。これは、なんとそのRCAのアルバムに収録されている曲。円道さん曰く「このアルバムの中で2曲だけ、ずっと歌い続けている曲があるんです。それが、この『ヴィーナス』ともう1曲『ドント・テイク・マイ・ラヴ・エニウェイ』という曲」だそうだ。
ステージで彼は言った。「僕にはヒット曲らしいヒット曲はないんですけどね。25年も歌ってくると背中に大きなものをしょってきてます。みんなもそうして、何かをしょって生きてきてると思う。だから、自分をしっかり持っていないとやっていけない・・・。(中略) 僕もウイルソン・ピケットの『ダンス天国』を何回も歌ってきましたが、彼が亡くなった今、彼が歌った回数を上回るだけ、これを歌うのが夢です。そして、ずっと歌い続けたいと思います」 82年、ピケットが来日した時に、円道さんは前座を務めたという。
確かに円道さんには大ヒットらしい大ヒットはない。サントラなどを含めて5枚のアルバムを出しているという。1枚CBSソニー、2枚RCA、その他2枚という内訳だ。だがこの日のステージは、四半世紀以上歌い続けているヴェテランの風格が充分あった。
まさに継続は力だ。継続は尊敬だ。継続は美しい。
ファーストとセカンドの合間にあいさつをして、RCAからのデビューアルバムに彼のサインをもらった。1982年の作品だ。「ライナーノーツは桜井ユタカさんなんですよ」と彼は言った。そして、「ちょっと借りていいですか」と言って、来ていた友人に見せて周っていた。ステージでもこんなことを言ってくれた。「今日、昔のデビューアルバムを持ってきてくれた人がいてね、嬉しくて、サインしてしまいました」 サイン、ありがとうございます。
■Setlist
show started 19:41
01. In The Midnight Hour
02. Mustang Sally
03. Papa’s Got A Brand New Bag
04. When Something’s Wrong With My Baby, Something’s Wrong With Me
05. Rain (円道一成オリジナル)
06. ダイナ (ベース新井武士の歌)
07. Moon Grew (ギター平井光一の作品)
08. I Got You (円道一成オリジナル)
show ended 20:48
show started 21:34
01. Concierto De Aranjuez
02. Spain
03. What’s Going On
04. Can’t Hide Love
05. Misty Moon (円道一成オリジナル)
06. Smoking Boogie (ダウンタウン・ブギウギ・バンド)
07. Stand By Me
08. Soul Dance
09. Land Of 1000 Dances
Enc. Venus Bridge Highway (円道一成オリジナル)
show ended 22:56
■関連記事
January 29, 2006
Fukamachi Jun Live: He Played More Music Than Talking
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_01_29.html
2003/11/30 (Sun)
Album Between Elbert & Errison
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200311/diary20031130.html
■メンバー
円道一成(ヴォーカル、ギター)
平井光一(ギター)
新井武士(ベース)
平松加奈(ヴァイオリン)
はたけやま裕(パーカッション)
奥田やすひろ(ドラムス)
■円道一成・オフィシャルサイト
http://www.e-team-ize.com/
■円道一成・ライヴの予定
2006年3月17日(金) チャチャ・ハウス 19:45と21:45
チャージ2500円
チャチャ・ハウス 武蔵野市吉祥寺本町2-13-14 B1
電話 0422-20-6730 http://www.sometime.co.jp
2006年4月1日(土) ライヴカフェ・ルースター 20:00 と21:30
チャージ2500円
杉並区荻窪5-16-15井上ビルB1 03-5347-7369
http://www.rooster.jp/
+++++
(2006年2月15日水曜、渋谷ジェイジー・ブラット(JZブラット)=円道一成ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Endoh, Issei
2006-29