Tuck & Patti Control Time & Space

【時空を支配するタック&パティー】

支配。

ブルーノート東京では2003年5月以来約2年半ぶりのタック&パティーのブルーノートライヴ(前回ライヴ評は下記リンクに)。(来日自体は2005年1月以来) この日は、東京ブルーノートの今年の第1弾ライヴだった。舞台には椅子もなく、中央に綺麗で立派な花があり、その下に水のペットボトルが数本置かれているだけ。実にシンプルで、ステージが広く見える。そこに登場するのはいつも通り、ギターのタックと歌のパティーだけの二人。

彼ら二人は本当に、この空間の空気と時間の流れを支配する。時空支配者だ。彼らと時を過ごすと、時計の秒針の進み方が、タック&パティーの手によってゆっくりと動かされているような錯覚に陥る。そして、彼らと時を過ごすと、その場の空気が、一段とクリアで愛に満ちあふれたものになっているような気持ちにさせられる。

セットリストはあるような、ないような。その場で決める曲もあるようだ。したがって毎回曲が変わる。3曲目に早くもスティーヴィーの「イフ・イッツ・マジック」。う~ん。うなる。観客にも歌わせた「タイム・アフター・タイム」に続いて、ジョン・コルトレーンで知られる「アフロ・ブルー」にパティーが詞をつけたという「アフロ・ブルー」。これは、なかなかすばらしい。以来、何度も頭の中でこのメロディーがまわってしかたがない。(笑) 

パティーが一旦ステージを下り、タックだけが残った。「誰でもが知ってる曲をやろうと思います。でも、僕はまあ、ちょっとしてるくらいかな。いや、つまり、知ってるけれど、あんまり人前でやったことがないということで。(笑) 一体どうなるか、とりあえずやってみよう。『ジョージア・オン・マイ・マインド』!」 それにしても、前日のマンハッタンズのアンコールが「ジョージア・・・」で、この日のタックのソロがまた「ジョージア・・・」とは、本当にアメリカの人はレイ・チャールズが好きなんだなあ、と改めて思った次第。そして、それにしても、タックのギターの超絶ぶり。チョッパーあり、叩くことあり、メロディーも弾けば、パーカッションにもなる。音の強弱も自由自在だ。何度見ても、見惚れる、聴き惚れる。彼と一度、やはり超絶ギターのチャーリー・ハンターのギター・デュオ対決というのを見てみたい。

アンコールになってパティーが言った。「何かリクエストある?」 するとすかさず観客から「テイク・マイ・ブレス・アウェイ」の声。パティーが驚いて答えた。「ちょうど、今それをやろうかと考えていたところなの。心を読んでいただいてありがとう。(笑) 驚いたわ。今年、私たちは一緒に音楽活動を始めて28年、結婚して25年。今日が今年最初のパフォーマンス。それをここブルーノートで始められて光栄です」

そしてそのリクエスト曲について説明した。(ちょっと複雑なので自信ないがたぶん、こういうことだったと思う) 「これは、私たちが初期にレコーディングしたとても思い出深い曲。(彼らの88年のファースト・アルバム『ティアーズ・オブ・ジョイ』に収録されている) 私たちがインドへ旅行した時に、オーストラリアから来たカップルからこの曲(テイクス・マイ・・・)を教わったの。そのカップルは、彼らがスコットランドに行った時に、カナダから来たカップルからこの曲を教わったのね。(笑) で、曲自体はイギリスのソングライター、クレア・ハミルが書いた曲です」 

アンコールが終って時計を見れば、11時をゆうに過ぎている。1時間41分、たっぷり満腹になった。時の流れのエアポケットに入ったかの如く、タック&パティーたちがパフォーマンスを見せている間、時間は止まっていたのかもしれない。

■タック&パティー・関連記事

2003/05/14 (Wed)
The Moment of Truth: Tuck & Patti Sung for Me
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200305/diary20030514.html

2003年5月のライヴ評。彼らがリクエストを歌ってくれた。

タック&パティー・ライヴ『感動のリサイクル・マシン』
【1994年11月28日・青山ラス・チカス】
https://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/tuck19941128.html

1994年11月のライヴ評。彼らの音楽の本質については、ここですべてが語られている。

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Setlist second set (January 6th, 2006)

show started 21:43
01. Comfort Me
02. Everything’s Gonna Be Alright
03. If It’s Magic
04. Tears Of Joy
05. One Hand One Heart
06. Time After Time
07. Afro Blue
08. (Tuck Guitar solo) Georgia On My Mind
09. (Tuck Guitar solo) Europe
10. My Romance
11. Hold Me Tight & Don’t Let Go
12. Dreams
Enc. Takes My Breath Away
show ended 23:24

■ブルーノート・ウェッブ
http://www.bluenote.co.jp/art/20060106.html

(2006年1月6日金曜、東京ブルーノート・セカンド=タック&パティー・ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>Tuck & Patti

2006-002

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