【アナログ音源を自由自在に操るDJ】
自由自在。
DJスピナが使う「セラート・スクラッチ・ライヴ」を見た。前回日記で書いたニュアンスとかなり違うので、訂正しつつどんなものかを報告してみたい。
この「セラート・スクラッチ・ライヴ」(レーン社製)は、いわゆるインターフェイスだった。つまり、それ自体がハードディスクで楽曲を保存できるものではなく、ラップトップ・コンピューターとアナログディスクプレイヤー、CDJなどとの間にいれて使うインターフェイスだ。曲のデータは、すべてラップトップのパソコンに入っていた。そこに彼の場合は約8000曲のデータがある。
で、何がどうなるかというとー。(うまく説明できるかどうか、自信がないのですが、やってみます。) これが摩訶不思議。(笑)
パソコンに入ってる楽曲データをそのインターフェイスを通し、アナログプレイヤーに載せた「擬似ディスク」からのデータ(スクラッチをしたり、BPMのピッチを変化させたりといったデータ)と合わせて、ミキサー経由で外に出すというもの。使う擬似ディスクからは、音はでない。ちょうど、ヴォコーダーを使う要領と似ているかもしれない。つまり、ヴォコーダーの場合、キーボードからでた音のデータを、口にはさんだホースからでるアナログ信号を混ぜあわせて、キーボードの音データが人間がしゃべっているようになる、という感じ。(もしこの理解が違っていたら、どなたか訂正してください)
DJスピナは、パソコンを見ながら、そこにアーティスト別、アルバムタイトル別で入っているリストから、選曲する。パソコンは、左右の実際のターンテーブルと同期している。
左のターンテーブルからマイケルの「ビリー・ジーン」を出し(実際は、パソコンからの音データ)、パソコン上で次の曲を選び、それを準備。ジャクソン・ファイヴの別の曲を用意し、右の実際のターンテーブルでピッチを合わせたり、曲を出すタイミングを計ったりする。通常のアナログを使うやり方とほぼ同じ。曲出し自体は、ターンテーブルの擬似ディスクを使って行う。
ユニークなのは、同じ楽曲(同じデータ)を、左右のターンテーブルから別々に出すようにできる点。プリンスの「アイ・ウォナ・ビー・ユア・ラヴァー」では、それをやっていた。通常アナログ2枚を使う「2枚使い」をパソコン一台でできてしまうということだ。
また、スピナは、パイオニアのイコライザーを使って高音域、中音域、低音域などを自由自在にカットしたり、強調したりしていた。いきなり、マイケルの曲のボトム(ドラムスの音)とかが消え、コーラスだけになったりといったことをフェイダーひとつでやっていた。
CDJもうまく使っていた。マイケルの「ウォーキン・デイ・アンド・ナイト」のパーカッションになる部分があるが、あそこの部分をリピートにし、繰り返し、次の曲にうまくつなぐ。次の曲の出し方などは、まさにミュージシャンと同じセンス。そして、彼は音源を本当に自由自在に操る。
今回わかったことは、セラートでは、楽曲のアナログディスクを実際に持ち歩く必要はないが、パソコンに入ったデータを自由自在に扱えるようになったということだ。これはこれで、かなりすごいことのように思えた。でも簡単にできるようなものではないということもわかった。(笑)
イヴェント自体は、ものすごくはいっていた。僕が2時過ぎに外に出る時には、なんと入場制限。その時点までで450人くらい入っていたという。冒頭でやっていたマイケルのそっくりさんのあて振りショウが面白かった。これはマイケルイヴェントで使えるね。(笑)
(2006年1月2日月曜、西麻布・イエロー=DJスピナ・ライヴDJプレイ)
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