【観客の表情に思い出を読み取るJT】
思い出。
観客がすでに熱くなっている。大音量で始まったJ.Tテイラーのソロ・ライヴ。JTのライヴとしては、2004年5月のディスコ・イヴェント『レッツ・グルーヴ2004』での来日以来約1年7ヶ月ぶり。セットリストは、ほとんど前回と同じだが、あの5000人を収容する大ホールで見るのと、この収容200人の小さなライヴハウスで見るのでは、まったく印象が違った。
仮面をかぶった女性ダンサー3人とJTがステージに登場すると、いきなり客席から「JT、JT!」の掛け声がかかる。ドラムス、ギター、ベース、キーボード2人とダンサー兼コーラス3人を従えて次々と歌われるヒット曲。面白いアレンジ、エクステンション(曲の引き伸ばし)もある。「ジョアンナ」の後半はちょっとラテンアレンジにした部分を追加。
「トゥ・ホット」のイントロのギターの音が流れた瞬間、客席から「トゥーーーー・ホ~~ト」と雄たけびが放たれた。JTが言った。「79年、80年頃に、みなさんをお連れしよう。そして、故ルーサー・ヴァンドロスに」
「チェリッシュ」が一段落し、バックがギターだけになってJTが話し始めた。「911の悲劇にトリビュートしようと、僕たちは1曲書いてみた。なんどかためしにやっているうちに、さて、この曲のタイトルは何にしようか、ということになった。4歳半の息子が『アメリカン・ファミリー』というのはどうかと言った。この曲のさわりをちょっとやってみようと思う。来年出す予定のアルバムにいれようと思っている。この曲が皆さんを少しでも癒すことができればと思う」 しっとりとした感動的なバラードだ。
ダンサー3人が激しく、時に挑発的にセクシーに踊る。ダンスステップが80年代そのままだ。まさに、バック・トゥ・ジ・エイティーズ! あの頃20歳だった人も、今は45歳になっている。まさに、ブラコ~~~ン。それぞれの曲のイントロが流れただけで、「オオオオ~~ッ」と観客が反応する。ここに来ている誰もが、彼らの大ヒットを知っている。
その歓喜の叫びは、「セレブレーション」で最高潮に達した。JTは言う。「例えば、『セレブレーション』のイントロが最初の一音がなった瞬間、観客の表情が変わるのが(ステージから)見えるんだ。みんなに、それぞれの思い出が蘇ってきているのがわかる。観客みんなの思い出が僕には見えるんだよ。観客が僕の歌を聴いて、感慨に耽っていることは、そのまま僕に戻ってくる。僕も実はみんなと同じ思いだったりするんだ」
観客の脳裏に20年以上前の思い出がフラッシュバックし、そのフラッシュバックをJTが読み取る。その共有が、さらなる一体感を生み出す。観客のテンションが上がり総立ちになり、JTのモチヴェーションもぐ~んとアップ。コットン・クラブがディスコになった瞬間だった。
■JTの前回来日時のセットリスト
2004/05/20 (Thu)
Let’s Groove 2004, Live At Kokusai Forum: Don’t You Miss It Back In The Day?
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200405/diary20040520.html
Setlist 2nd @ Cotton Club
show started 21:47
01. Mislead
02. Get Down On It
03. Ladies Night
04. Joanna
05. All I Want Is Forever
06. Too Hot
07. Cherish
08. American Family
09. Jungle Boogie (Interlude)
10. Let’s Go Dancing (Ooh La, La, La)
11. Fresh
12. Celebration
show ended 22:51
(2005年12月16日金曜、コットン・クラブ・セカンド=J.T.テイラー・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Taylor, J.T.