Diane Schuur Live: Forgot The Word Of "Over The Rainbow"

【歌詞忘れ】

透明感。

盲目のシンガー、ダイアン・シュアーが久しぶりの来日。ミディアム調、アップテンポ、スローバラード、なんでもそつなくこなす。超一流のレベルのミュージシャンたちは、やはり違う。

ショウの途中でダイアンがちょっと話した。「私が70年代に育った頃、私が20代ね、実はこの土曜日に52歳になるんだけど。一枚好きなクリスマス・アルバムがありました。それが、カレン・カーペンターのものでした。その中から、『メリー・クリスマス・ダーリン』を歌います」

そして、その歌を歌い始めた。なるほど、と思った。これが収録されているカーペンターズの『クリスマス・ポートレート』というアルバムが出たのは、78年11月のことだった。1952年12月10日生まれのダイアンにとっては、まさに26歳のクリスマス時期によく聞いたアルバムということになる。そして、透き通ったダイアンの声が、今は亡きカレンを彷彿させる。

ダイアンの声は、クリアで綺麗な声だ。そこにドラム、ギター、ベースの3人がからむ。ダイアンはピアノを弾きながら歌う。ずっとピアノの鍵盤かピアノの正面(客席から見ると、少し斜め)を見ているが、時折、客席を向いて、にこっと笑う。この仕草が実にいい。

そして、彼女はその歌だけで充分に観客を納得させられる。3曲目にジェームス・テイラーの作品「ドント・レット・ミー・ビー・ロンリー・トゥナイト」が歌われた。なかなかの情感を込める。

一番最後のところでおもしろいことが起こった。最後の曲をピアノの前に座りながらも、アカペラで歌いだした。「オーヴァー・ザ・レインボウ」だ。途中まで歌い、ふと歌が止まった。なんと、ダイアンが歌詞を忘れたのだ。「あら? 何度もこの曲歌ってるのに~」 スタッフが歌詞の単語を言ってみる。そのなかから、「ティアドロップスだったわね」と思い出し、再び曲に戻った。透明感あふれるその声だけで、「オーヴァー・ザ・レインボウ」をやられるとは思わなかった。とてもいいヴァージョンだ。

Setlist (Incomplete)

show started 19:00
01. (Inst)
02. Lover Come Back To Me (Riff of “Sakura, Sakura”, “Sukiyaki”, etc.)
03. Don’t Let Me Be Lonely Tonight
04. Spain?
05. When October Goes
06. Poinciana
07. Teach Me Tonight
08. If It Ain’t Got That Swing
09 Merry Christmas Darling
10. Love Dance
11. Louisiana Sunday Afternoon
12. Over The Rainbow (A Cappella)
show ended 20:18

(2005年12月13日火曜日、東京ブルーノート・セカンド=ダイアン・シュアー・ライヴ)

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