Stevie Wonder Press Conference (Part 3 of 3 Parts):

【スティーヴィー記者会見・全訳・パート3(全3回)】 

会見。 

(スティーヴィー・ワンダーが11月2日に行った記者会見の全容の第3部です)

質問6 今回リリースされた『ア・タイム・トゥ・ラヴ』は愛のメッセージのつまったアルバムですが、戦争や事故で苦しんでいる人、またはハンディキャップを背負って自分の生きる道を模索している人、あるいは悩み苦しんでいる人たちがこの世の中には大勢います。そういった人たちに、このアルバムを通して一番伝えたいメッセージは何でしょうか? そのような道に迷っている人たちに何かアドヴァイスがあればお願い申し上げます。(オールアバウト・かわもと氏)

SW ある意味で、人間というものは誰でも苦しんでいるんです。心がある人であれば、苦しんでいる人の気持ちもわかるはずです。私たち人類が今苦しんでいるのは、世界で戦争が起こったり、憎しみが充満していたり、テロが起きているからなんです。以前よりも憎しみや苦しみが世の中には増えているのではないかという人もいます。人々が信仰している神がアラーであれ、どんな神であれ、僕が知っている神は、純粋な人や無実の子供たちを傷つけるようなことはしないと思っています。人々を傷つけたり、人々に毒を与えたり、人々に崩壊をもたらしたりということは、僕の知っている神はしません。

神から与えられている僕らの人生や生命は、世界を永続的により住みやすいものにしていくために使っていかなければならないと思います。だから(恵まれている人は)あまり恵まれていない人たちに手を差し伸べていかなければいけないんです。真の愛の心を持つ人は、僕たちとともにこの世界をよりよいものにしていかなければなりません。それは人種、宗教とか全く関係なく、我々人類というものは神の手によってこの世に生を授かったものですから。

今、世の中にはネガティヴなことがたくさん起こっていますが、全員が一致団結して苦しんでいる人を助け、いい世の中にしていかなければいけない。僕の愛は、そういった様々な人たちに向けられているものです。僕の愛は傷害のある人へ向けられます。世の科学者、医学者たちは自分達が神から与えられたそうした才能を使って、病気や苦しみを癒すために努力してほしい。歩けない人が歩けるようになったり、耳が聞こえない人が聞こえるようになったり、目が見えない人が(目が)見えるようになったり、彼らがそういうことを成し遂げれば、それは愛を表していることになります。そういったことにお金や、僕らの地球にある資源を使えれば、世の中はもっと素晴らしい世界になっていくのではないかと感じています。(席から拍手)

質問7 アルバムの完成を心から望んでいました。私たちは再び、あなたの作品から最高の愛を与えられました。個人的な意見ですが、アイーシャさんとのデュエット「ポジティヴィティー」が大好きで、その曲の歌詞にはミニー・リパートンのエピソードなども出てとても励まされました。では、音楽活動でも人生でもかまいませんが、あなた自身を「チアアップするもの(元気づけるもの)」と言いますか、モチヴェーションを上げているものは何でしょうか? (ラヴFM)

SW (モチヴェーションは)人生そのものです。僕自身に曲を書かせる原動力となっているのは、人生そのもので、僕自身は神から授けられた(音楽の)才能を使って、曲を作っていると思っています。人生の様々なことを経験して、いろいろなことを発見し、そうしたことを曲にしている。よく人から「なぜ、あなたはこんなに楽観主義なんですか? なぜそんなにいつもハッピーなの?」などなど、いろいろ聞かれますが、そんなことはありません。楽しいこともありますが、皆さんと同じような痛みや苦しみだって感じます。常に嬉しいことばかりではないのです。ただ、この地球に命を与えられたのであれば、僕たちが与えられた可能性の中でベストを尽くしていかなければならないと思っています。

人生の中には模索していけば何か(問題の)解決策があるはずだと僕は信じています。例えば、政治家が様々な決断を下しますが、もし政治家たちが「本当の人間の心」を持っていれば、戦争や破壊以外に解決策を思いつくはずです。愛とは人々の人生に神から授かったプレゼントです。その人生には確かに、愛、憎しみ、傷つけることなど様々なことが起こります。

僕はミニー・リパートンがかつてこんなことを言っていたことを思い出します。人生はグラスに注がれたおいしいワインのようである、と。いいワインがグラスに半分入っていたら、そのグラスの人生を半分空っぽ(ハーフ・エンプティー)と見るのではなく、半分も一杯入っている(ハーフ・フル)と見たい。本当に気に入ったワインがグラスにあれば、全部を飲み干したくはないと思うでしょう。それほど、おいしいわけだから。それは人生も同じです。そして、愛も同じ。その愛がとても素晴らしいものだったら、その愛を(全部飲み干して)終わりにはしたくないでしょう。ずっとずっと続いて欲しいと思うはずです。僕はそういう風に感じています。

人生というものは、とても価値あるものだし、いっぱいやりたいこともある。「行ける」という希望を持たなければいけない。希望を持つことができなければ、世の中は絶望的になってしまいます。

質問8 スティーヴィーさんが未来に残したいものは何ですか? 教えてください。(東京FM)

SW 僕が未来に残したいものは、今まで自分が生涯作ってきた作品、ベストを尽くして作ってきた作品です。残りの人生では、これからほんの何枚かアルバム(訳注、英語ではfew more albums。あまり多い枚数のニュアンスはない)を作れればいいし、他のプロジェクトも、機会があれば参加するかもしれない。次はゴスペル・アルバムを作ってみたいとも思うし、子供用のアルバムやジャズ・アルバムなんかも作ってみたい。

『ア・タイム・トゥ・ラヴ』に収録されなかった曲で「ジャッジメント・デイ」という曲がありますが、非常に強烈な歌詞なんです。私たちが実際住んでいる社会のことを歌詞にして歌っている曲なのですが、真実を伝えた歌で、非常に大事な曲なのですが、今回このアルバムには収録することができませんでした。

何が言いたいかと言うと、僕がこの世を去る時には、多くの愛をこの世の中に残し、さらに皆に永遠に歌い継がれるようないい曲を残していきたいなと思っているということです。

(通訳が訳し終わった後)

じゃあ、今からステーションIDを作るから、各局ごとに名前を言ってください。ひとりひとりね。

(いっせいに声があがる)

(このあと、各局のステーションIDをその場で作った)

(2005年11月2日水曜、恵比寿ウェスティン・ホテル、スティーヴィー・ワンダー記者会見) 

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