【スティーヴィー、新作9月中の発売は、なし】
望薄。
つい先日まで全米で9月27日の発売が目されていたスティーヴィーの新作『ア・タイム・トゥ・ラヴ』の9月中の発売が不可能になった。これにより、来年初頭のグラミー賞でのアルバム部門などのノミネートも不可能になった。ただし、シングル盤「ソー・ホワット・ザ・ファス」は、各種当該部門へのノミネートは可能。
スティーヴィーの新作を9月27日に日本発売するためには、8月22日の週にマスターテープが届かないと、リリースできないということだったが、結局、マスターは到着しなかった。さすがにアメリカもほぼ同様の雰囲気で、どうやら、アメリカ・モータウンにもマスターは届けられていない模様。この結果、9月1日現在、日米ともに9月27日の発売は不可能になった。
9月27日発売が有力視されていたのは、今年度のグラミー賞のノミネート作品のリリース締め切りが9月末日だったため。9月中にリリースしておけば、来年2月のグラミー賞のさまざまな部門へのノミネートが可能で、さらに大量の受賞となれば大きな話題を集められることが期待されたからだ。対照的にローリング・ストーンズは、しっかり7年ぶりの新譜を出し、来年のグラミーを狙える。
こうなると、いつ発売になるか、ということだが、まったく未知数になった感がある。ただし、実際は10月1週目の発売でも、プリントする公式発売日を9月30日にしてしまって、ノミネートにはエントリーするという裏技はなくはないが。それも、せいぜい10月2週目くらいまでだろう。11月に出しておいて、ノミネートへエントリーはさすがにむずかしい。となると、かすかな望みが10月1-2週までの発売だが、かなり薄くなっているような感じがする。となると、もう完全にグラミーは関係なくリリースするか。「9月27日? 誰も今年とは言ってないないだろ(笑)」というジョークが現実味を帯びてきた。
一方、スティーヴィー関連の作品は少しずつだがリリースされる。一番の注目はラウル・ミドンという新人シンガーのデビュー作『ステイト・オブ・マインド』(日本盤2005年10月5日発売)。このラウルについては、改めて紹介しようと思っているが、超ヴェテラン・プロデューサー、アリフ・マーディンとその息子ジョー・マーディンのプロデュースによる強力新人。ニューメキシコ生まれの、黒人とメキシコ人のハーフ。生まれながらにして盲目。ちょっと聴いたところ、ホセ・フェリシアーノとノラ・ジョーンズを足して、スティーヴィー風味をまぶしたという感じの作品だ。一曲、スティーヴィーがハーモニカで参加。これがいかにもスティーヴィーが歌いそうななかなか渋い作品になっている。タイトルは「エクスプレッションズ・オブ・ラヴ」。
彼のバイオなど。試聴もできる。
http://www.toshiba-emi.co.jp/st/artists/raulmidon/disco.htm
また、このラウルは、来る9月9日、ロスアンジェルスで行われる「トリビュート・トゥ・スティーヴィー・ワンダー」のコンサートへの出演を、ハービー・ハンコックからじきじきに頼まれたという。ラウルは、ハービーの最新作のレコーディングに参加したといい、その縁でもともとハービーが出演することになっていたこのトリビュート・ライヴへ一緒にでないか、と誘ったもの。二人で、「アイ・ジャスト・コールド・トゥ・セイ・アイ・ラヴ・ユー」を歌うという。
ENT>MUSIC>ARTIST>Wonder, Stevie