Hitch: Lean On Consultant

【映画『最後の恋のはじめ方』】

コンサルタント。

HITCH 最後の恋のはじめ方何をもって「ソウル・ムーヴィー」というか。もちろん、古くからの「ブラック・ムーヴィー」はひとつのジャンルとしてある。だが、広義にテーマや、ストーリーのどこかに「ソウル」があれば、「ソウル・ムーヴィー」。ソウル・ミュージックがたくさんかかっていれば、それも「ソウル・ムーヴィー」ともいえる。

ウィル・スミス主演のちょっとしたラヴ・コメディー「ヒッチ(邦題、最後の恋のはじめ方)」は、まさに「ソウル・ムーヴィー」だった。なにしろ、ど頭サム・クックの「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」から映画は始まる。(サントラCDには未収録) 恋をすれば、世界はなんと素晴らしい、という曲は、この映画のテーマにもってこい。さすがウィル・スミス。ソウル・サーチン的には完璧つかみはOKだ。この曲にのって、ヒッチの仕事ぶりが簡単に紹介される。

アレックス・ヒッチ(ウィル・スミス)は、ニューヨークのデート・コンサルタント。「デート・ドクター」などとも呼ばれ、恋愛問題に悩む男女に、どのようにしたら自分が好きな相手とうまくデートできるかを指南して、それを生業としている。

出会いのきっかけ作り、話題の選び方、洋服、靴などの選択などなど、様々なシチュエーションでのかけひきをクライアント(お客さん)にアドヴァイスする。

彼のもとにとてもモテそうもないちょっと太り気味の男、アルバート・ブレナマン(ケヴィン・ジェームス)がやってきた。彼の意中の人はコール財団のリッチなセレブ、アレグラ・コール。一サラリーマンからすれば、完全に高嶺の花だが、ヒッチは彼の熱い思いに負けて様々なアドヴァイスを与え、デートのチャンスを作り出す。

そんなある夜、ヒッチはバーでゴシップ記事専門のタブロイド紙の女性記者サラ・ミラス(エヴァ・メンデス)と知り合う。他人のデートのアドヴァイスはできるが、自分のデートはなかなかうまく進められない。斬新なアイデアでファースト・デートにこぎつけるが・・・。

軽快なテンポ、デート・コンサルタントという職業をテーマにしたところなど、なかなか斬新で楽しめた。しかもヒッチは、この仕事でけっこうなお金を稼いでいるようで、彼の住むアパートはかなりリッチで豪華だ。1時間100ドルとか200ドルでもチャージするのだろうか。(笑) 

音楽の使い方もうまい。ヒッチがサラを初デートに誘った時、ジェットスキーに乗るがそのバックで流れていたのが、ジョン・レジェンドが歌うスティーヴィーの「ドンチュー・ウォーリー・アバウト・ア・シング」。不安な初デート、しかもジェットスキー、そこで、心配するな、というわけだ。冒頭、サム・クックに続いて流れたのがジミー・クリフの「ユー・キャン・ゲット・イット・イフ・ユー・リアリー・ウォント・イット」。本当に望めば、それは手に入る。

一番、おもしろいなと思った部分は、ヒッチがよっぱらって、サラと散歩をしているところで、かなり音程をはずして、アース・ウィンド&ファイアーの「リーズン」を歌うシーン。サラが「この曲は誰?」と訊き、ヒッチが「アース・ウィンド&ファイアー」と答える。ヒッチとサラが、ヒッチのアパートでちょっとした喧嘩をするシーンでは、テンプテーションズの「アイ・キャント・ゲット・ネクスト・トゥ・ユー」。「君の隣にはいられないな」という曲だ。アルバナンが踊りを練習するシーンでは、アッシャーの「イエー」。(サントラCDには未収録)

ヒッチとクライアントのアルバナンが言い争う場面がある。ヒッチは「愛は、自分にとって人生そのものだ」というと、アルバナンが彼に向かって「お前は愛を商売にしてるじゃないか」と言い返す。だがそこでヒッチが「自分は魂を込めて、この仕事をしている」とか、「魂をこめて相手に臨まないとだめだ」みたいなセリフを言ったような気がしたのだが、正確に覚えられなかった。これはDVDでもでた時にもう一度チェックしてみよう。

デート・コンサルタント、おもしろい仕事だ。しかも、ここでいろいろアドヴァイスされるノウハウが興味深い。ところがあれこれ指南するものの、結局、落ち着くのが「恋愛に基本ルールはない」というオチ。でも、そこに行き着くまでに、コンサルタントが必要なわけだ。いかにも今風だなあ。(笑) 世の中、何でもちょっと困ったらコンサルタントに頼る時代。「1億総コンサル頼み時代」ってことか。いや、アメリカだから、「2億総コンサル頼み時代」かな。

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サントラ盤 『HITCH 最後の恋のはじめ方 』(ソニー)

HITCH 最後の恋のはじめ方

1.I Thing(エイメリー)
2.Don’t You Worry’Bout A Thing(ジョン・ジェンド)
3.This is How I Feel(アース・ウインド&ファイアー featuring ケリー・ローランド&スリーピー・ブラウン)
4.Ooh Wee(マーク・ロンソン featuring ゴーストフェイス・キラー,ネイト・ドック,トライフ・ダ・ゴッド&サイゴン)
5.Now That We Found Love(ベビー・デューティー・アンド・ザ・ボーイズ)
6.Happy(メレニー・スミス)
7.Love Train(オージェイズ)
8.I Can’t Get Next To You(ザ・テンプテーションズ)
9.You Can Get It If You Really Want(ジミー・クリフ)
10.It’s Easy To Fall In Love(With A Guy Like You)(マーサ・リーブス・アンド・ザ・バンデラス)
11.リーズンズ(アース・ウインド&ファイアー)
12.Never Gonna Let You Go(She’s a Keepa)(オマリオン)
13.Turn Me On(Low Tide Remix)(ケヴィン・リトル)

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(映画『最後の恋のはじめ方』~2005年6月4日(土)より新・日比谷みゆき座、シネア・メディアージュなどでロードショー)

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