【総合エンタテイナー、ディー・ディー・ブリッジウォーター】
文化融合。
アメリカに生まれ、育ち、その後パリに渡り成功を収めたブラック・シンガー。そういう道筋を歩んだシンガーに、ジョセフィン・ベイカーがいた。今、ジョセフィンと同じ道を歩んでいるかのように思えるのが、ジャズ・ディーヴァ、ディー・ディー・ブリッジウォーターだ。ジャズからスタートし、ソウル、R&B、少しディスコっぽい作品などを経て、ミュージカル、そして、ジャズに戻ったディー・ディー。ミュージカルで鍛えたトータル・エンタテイナーとしてのサーヴィス精神の多さは見事だ。
ドラムス、ギター、ベース、そして、アコーディオンの4人をバックにしたシンプルな編成ながら、そこで見せられるエンタテインメント・ショウは、観客をまったく飽きさせない。ひじょうによく練られた密度の濃いショウだ。
ディー・ディーの素晴らしさは、毎回、アルバムを出し、そのアルバムのコンセプトにそったライヴをしっかりと見せるという点。したがって、来日ごとに彼女のステージを見ても、二つとして同じ出し物がない。
今回は、つい先ごろリリースしたアルバム『ジェ・デ・ザムール(J’ai Deux Amours)(邦題、フランスへのオマージュ)』収録の作品ばかりを80分ほどにわたって披露した。アルバムを予習しておけば、充分に楽しめるだろうし、仮にしてこなくとも、かなり有名な曲が多いので、ディー・ディーが歌うシャンソン、フレンチ・ポップスということでも楽しめるだろう。
僕は、彼女のようなゴスペルをベースに、さらに、ジャズ、ポップ、ソウル、R&Bとすべてを歌える実力派のアフリカン・アメリカンの歌手が、こうしてフランスのポップスを歌うという点に感心する。まさにカルチャー横断、文化融合だ。これぞ本物のクロスオーヴァー、フュージョンということになる。
彼女の手の動かし方、顔の表情、声色の使い方、発声、体の動かし方まで、すべてがエンタテイナーの基本中の基本という感じがする。歌手を目指す人がいるなら、彼女のステージから無限大のものを学ぶことができるだろう。そしてこうした基本ができているからこそ、そこから自らのオリジナリティーを発展させることが出来、それがまた素晴らしいものになっていくのだと思う。
彼女は、アンコールを含め8曲を歌ったが、ほとんどすべての曲にちょっとした解説を施した。こうした司会ぶりもまた、音楽への理解を深める。ただ音楽をやるだけでなく、それを理解する手助けをしっかりする。音楽家としても素晴らしい姿勢である。
ミュージシャンがソロをとる時、ディー・ディーは赤いセンスを手にもち、扇いでいた。そして、最後に「忘れないでね、愛を分かちあいましょう!(share the love)」と叫んで、拍手喝采を浴びた。
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ディー・ディーのライヴ評(2003年2月)
2003/02/27 (Thu)
Saga of Dee Dee Bridgewater continues
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200302/diary20030227.html
ディー・ディー・ブリッジウォーター・ブルーノート・ウェッブ
http://www.bluenote.co.jp/art/20050516.html
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Setlist 1st set@Blue Note
show started 19:07
1. J’ai Deux Amours
2. La Mer (Beyond The Sea) (ラ・メール)
3. Ne Me Quitte Pas (If You Go Away)
4. Mon Homme (My Man)
5. La Belle Vie
6. Dansez Sur Moi (Girl Talk)
7. La Vie En Rose (バラ色の人生)
Enc. Autumn Leaves (French) (枯葉)
show ended 20:30
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(2005年5月16日月曜ファースト、ディー・ディー・ブリッジウォーター・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Bridgewater, Dee Dee