発掘作業。
1970年6月27日、カナダのトロントを出発した列車が当時人気のミュージシャンたちを乗せてカルガリーに向かった。7月4日まで、東から西へ迎う途中で下車しライヴを見せ、また、列車の中でも大パーティーを続けた。その奇跡の8日間の軌跡を撮影した70時間以上のフィルムを編集した音楽・ロードムーヴィーだ。元々主催者と映画撮影者などの意見が対立し、映画化が頓挫していたが、95年にこのフィルムの一部(約46時間分)が発見され、約8年の歳月を経て、著作権などさまざまな権利がクリアされ、遂に完成をみた。これが映画『フェスティバル・エキスプレス』である。
登場するアーティストは、ジャニス・ジョプリン、ザ・バンド、グレイトフル・デッド、バディー・ガイ、シャナナといった当時の「ヒッピー」「ロックンロール」カルチャーを代表するようなアーティストばかり。
そして、ドラッグ、アルコール、セックス、ロックンロールのロードが繰り広げられる。こんな楽しいめちゃくちゃなパーティーがあったのが、70年代という時代なのだろう。そこにルールなど何もない。
個人的には、ジャニス・ジョプリンに尽きる。「クライ・ベイビー」と「テル・ママ」のパフォーマンスは言葉に表現できない。特に「テル・ママ」は、R&Bシンガー、エタ・ジェームスの作品。エタにあこがれたジャニスがついにエタのソウルに追いつき、見事につかんだ瞬間だ。フルでジャニスの渾身のライヴ・パフォーマンスが2曲も見られるというだけでこの映画は僕にとっては価値があった。
もちろん、ロックファンはグレイトフル・デッド、ザ・バンドにも涙するだろう。バンドの「ザ・ウエイト」「アイ・シャル・ビー・リリースド」なども素晴らしかった。ひたすら、ライヴが見られるライヴ映画だ。そして、その合間に列車の中でのバカ騒ぎの模様が映し出される。まさに列車の上の魂のぶつかり合いだ。
しかし、こんなフィルムがよく残っていたものだ。映像もきれいだし。歴史とは、絶え間ない発掘作業によって語り継がれていくものだなあ、ということを痛感した。
元気いっぱいのジャニスはこのわずか3ヵ月後の1970年10月4日、ハリウッドでドラッグのオーヴァードーズ(過剰摂取)で他界する。享年、27。人間の命は儚い。
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エタ・ジェームスとジャニス・ジョプリンについての記事。
↓
『車窓を奏でるメロディー』(13)
『ひとつの思い出のためにすべての未来を売り払うシンガー』
https://www.soulsearchin.com/periodical/l&g/l&g13.html
アルバム『エッセンシャル』
(ソニーMHCP 1-2)
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映画が終ってプログラムを入手したが、なぜかセットリストが書かれていない。ちなみに、この映画、現時点ではサウンドトラックのアルバムがない。またアメリカではこの映画のDVDが発売されている。日本でもいずれ発売されるだろう。これだけの音楽映画を見たら、まずセットリストを確認したいところ。人によってはアーティストのCDで反芻(はんすう)するだろう。プログラムにはセットリストは入れて欲しかった。というわけで、アメリカのサイトで探しました。コピペができないので、もう一度打ち直した。ふ~~。
一方、DVD、アメリカ・アマゾンでもう18ドル。一応リージョンコードは1。さすがに日本語字幕はないが。ここには下記のエキストラ・ライヴ・パフォーマンスが収録されている。
Grateful Dead “Hard to Handle”
Grateful Dead “Easy Wind”
Janis Joplin “Move Over”
Janis Joplin “Kozmic Blues”
Buddy Guy “Hoochie Coochie Man”
Mashmakhan “As Years Go By”
Eric Anderson “Thirsty Boots”
Ian & Sylvia “Tears of Rage”
Tom Rush “Child’s Song”
Seatrain “Thirteen Questions”
マッシュマッカーンのこの曲は「霧の中の二人」という邦題で日本でもヒットした。
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“Festival Express”
Setlist
01. Casey Jones / Grateful Dead
02. Don’t Ease Me In / Grateful Dead
03. Friend Of The Devil / Grateful Dead
04. Slippin’ And Slidin’ / The Band
05. Goin’ Down The Road / Delaney & Bonnie & Friends
06. “Traditional Country Song” / Buddy Cage/Various
07. Baby Here I Come / Buddy Guy-Danko etc.
08. Better Take Jesus’ Hand / Garcia & Sylvia
09. Comin’ Home Baby / Mashmakan
10. Money / Buddy Guy
11. Lazy Day / Flying Burrito Brothers
12. The Weight / The Band
13. Cry Baby / Janis Joplin
14. I Can’t Do It Baby / Buddy Guy & Garica
15. Ain’t No More Cane / Rick Danko & Janis Joplin, etc.
16. Soul Jam / Buddy Guy & Danko, etc.
17. Sunshine Of Your Love / Various
18. Rock & Roll Is Here To Stay / Sha Na Na
19. CC Rider / Ian & Sylvia
20. New Speedway Boogie / Grateful Dead
21. I Shall Be Released / The Band
22. Tell Mama / Janis Joplin
23. Me & Bobby McGhee / Janis Joplin
24. Better Take Jesus’ Hand / New Riders Of The Purple Sage
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映画『フェスティバル・エキスプレス』
渋谷・シネセゾン渋谷で連日午後9時20分からレイトショウで公開中。
03-3770-1721 (渋谷道玄坂・ザ・プライム6階)
公式ウェッブ
http://www.festivalexpress.jp/
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