ピック。
なんと82年の初来日以来、彼らの日本での公演回数が100回を数えた、という。これはすごい。超ヴェテラン、ポップなヒット曲を書かせたら彼らの右に出るものはいない二人組み、80ズといえばまず思い浮かぶのがこのホール&オーツだ。彼らの最新作『アワ・カインド・オブ・ソウル』がソウルのカヴァー集ということ、その中からの曲を歌うというので、久々にライヴにでかけた。
『アワ・カインド・オブ・ソウル』についての日記
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200410/diary20041017.html
暗転していきなりアヴェレージ・ホワイト・バンドの「ピック・アップ・ザ・ピーセス」が流れ、それにのってバンドメンバーが登場した。そして、一曲目に「マンイーター」。いきなり、観客総立ちで、結局最後の最後まで観客は椅子には座らなかった。
トップ40にはいったヒット曲だけで40曲近くある彼らからすれば、ヒット曲を次々歌うだけで、観客は大興奮になること間違いない。その昔武道館で見た時も、ヒット曲のオンパレードでポップに楽しかったが、今回は彼らのルーツでもあるフィリー・ソウルの一端に触れられた。
ほとんどすべての曲はホールが歌い、トークも彼が進行する。「次の曲は新曲です。新曲と言ってもクラシック・ソングです。僕たちは、フィリーに育って、フィリーの一部だけれど、これは僕も大好きなグループ、スピナーズが録音した曲。僕たちの良き友人トミー・ベルが書いた作品です」と言って始まったのが「アイル・ビー・アラウンド」。ポップなリズムになって、ダリルのヴォーカルがいい感じを醸し出す。この他にも、オージェイズの「ユースタ・ビー・マイ・ガール」、スタイリスティックスの「ユー・アー・エヴリシング」などもいかにもソウル好きのミュージシャンが歌っているという感じがでていて好感が持てる。
ただソウルのカヴァーでも、向き不向きはあるようで、例えば、グラディス・ナイトの「ニーザー・ワン・オブ・アス(さよならは悲しい言葉)」は、CDでもあまりダリル・ホールにフィットしているように思えなかった。もちろん、オリジナルのグラディスを知らなければ、実にいい曲でそこそこ胸に来るのだが、もしグラディス・ヴァージョンを知っていると、かなり物足りないものがあるだろう。だが、一方でニルソンの「ウィズアウト・ユー」などは、すごくホールにあっている。これなど、まさに完璧に自分のものにしていて、オリジナルを知っていても、ホールに軍配を上げてもいいのではないかとさえ思う。
フィリーのヒット曲以外、彼らのオリジナル・ヒットでも、彼らがソウルをルーツに持っているというのがあちこちにでてくる。改めて、彼らの血と肉にフィリーの、あるいは、あらゆるソウル・ミュージックが入っているんだなあ、と感じた。日本人ミュージシャンがソウル・ミュージックへアプローチするやり方として、彼らホール&オーツのやり方は一番参考になる。
そういうわけで、彼らは「ブルー・アイド・ソウル」(青い目のソウル=白人のソウル・ミュージックという意味)のアーティストとしても、確かな地位を築いているが、2度目のアンコールの最後の曲は、なんと「ブルー・アイド・ソウル」の大先輩、ライチャス・ブラザースのヒット曲「ユーヴ・ロスト・ザット・ラヴィン・フィーリン(ふられた気持)」だった。
そして、今日の山野ミュージック・ジャムでは奇しくも、そのライチャス・ブラザースを特集。
2度目のアンコールが終わり、客電がつくなりマーヴィン・ゲイの「アイル・ビー・ドッグ・ゴーン」がかかった。次もマーヴィンだったので、マーヴィンのCDをかけていたことになる。
ホールは何曲かごとに気前良く、ギターのピックを観客に投げていた。一体いくつのピックを投げたのだろうか。
show started 17:06
++ Pick Up The Pieces / AWB
01. Maneater
02. Let Love Take Control
03. Do It For Me
04. I’ll Be Around
05. Say It Isn’t So
06. Soul Violins
07. Used To Be My Girl
08. She’s Gone
09. You’re Everything
10. Neither One Of Us
11. Wait For Me
12. Sara Smile
13. I Can’t Go For That
14. Without You
Enc1. Kiss On My List
Enc2. Private Eyes
Enc3. Out Of Touch
Enc4. You’ve Lost That Lovin’ Feelin’
show ended 18:51
I’ll Be Dog Gone / Ain’t That Peculiar (Marvin Gaye)
(2005年3月19日土曜、東京国際フォーラムA=ホール&オーツ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Hall & Oates