静寂。
こんなに静かなライヴは初めてだった。若手ピアニスト毎度おなじみのゴンサロ・ルバルカバとヴェテラン・ベースのチャーリー・ヘイデンの二人だけのステージ。チャーリーがマイクをとってひとこと挨拶して、始まった音は、完璧なピアノシモのライヴ。耳をそばだてないと聴こえない。ベースの音など蚊が鳴いているのかと思えるほどの小音だった。
いつものパワーあふれるピアノとは180度違ったピアニシモのゴンサロには驚いた。鍵盤をなめるように、やさしく愛撫して醸し出される音は、一音一音に指先の温かみが感じられるかのようだ。
観客の座る席も動かせず、テーブルのお皿やグラス、フォークなどを動かすのもはばかられる、ちょっとした音でも出そうものなら、顰蹙(ひんしゅく)を買いそうなほどだ。いつになく、会場のエアコンの音が聞こえてきた。それほどまでに音の小さなライヴだった。これは、ジャズという名前を借りたクラシックのコンサートかと思った。
ミュージシャンというのは、一緒にやる相手とともに、これほどまでに変化するのかということを見せつけられた。そして、静寂を売り物にすることもできるのだな、とも感じた。
最新アルバム:
チャーリー・ヘイデン with ゴンサロ・ルバルカバ
『ランド・オブ・ザ・サン』
(ユニバーサル ミュージック)
ブルーノートのウェッブ
http://www.bluenote.co.jp/art/20050314.html
(2005年3月17日木曜、ブルーノート東京・セカンド=チャーリー・ヘイデン&ゴンサロ・ルバルカバ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Haden, Charlie & Rubalcaba, Gonzalo