接触。
8時45分を過ぎても、まだファースト・ステージが終っていない。前の回がかなり伸びている。相当盛り上がっているらしい。やっと音が静まり、どっとファーストの観客が出始めた。入口で待っていると、なんとトクさんと小沼ようすけさんが出てきて声をかけてくれた。ファーストを見た後だった。「何か飛び入りでやったの?」と聞いたら、「いや、見に来た」とのこと。彼らはいろいろ、見にきてるなあ。
今年初めてのライヴは、マイク・スターン、デニス・チェンバース、そして、リチャード・ボナらのライヴ。マイク・スターンはギター、デニスは元Pファンクのドラマー、そして、リチャードはベースも弾くヴォーカリスト。久々のブルーノートでのライヴは、やはりいい感じ。結局セカンドが始まったのは、9時44分。
なんと言っても、彼ら4人のミュージシャンシップがスパークする瞬間が美しい。マイク・スターンのギターは、フュージョン風でもあり、ロック風(時にジミ・ヘンドリックス風)、ソウル風、R&B風あり、さわやかスムース・ジャズ風でもありと何でもござれ。基本的には白いが、リチャード・ボナとからんだり、デニスとからんだりするとファンキーになったりもする。
なんといっても、僕はこのデニスのドラマーが最高だ。本当にこれだけのシュアなリズムを刻める、それでいて、音自体がかっこいいドラマーはまずいない。しかも、訳のわからない微妙な変拍子まで叩きだす。
もっともスリリングだったのは、後半、デニスとマイク・スターンの掛け合いになったところ。それまで、基本的にはマイクがこのステージのスターというか主人公なのだが、この時はドラマーのデニスが主導権を握る。彼がシンプルなリズムからどんどん難しい変拍子に移行するのだが、マイクはそれに惑わされず、同じファンキーなリズムギターをキープする。
デニスはあたかもマイクに向かって「さあ、これでもついてこれるか」といった具合にチャレンジしてくる。そして、マイクはそれに「だいじょうぶだぞ、どんなリズムでも」と答えるかのようだ。この緊張感はライヴならではのもので、たまらない。マイクもマジックハンドだが、デニスのドラムスの叩き方もマジックハンドである。
途中、デニスや他のメンバーがステージを離れてしばし休む時がある。舞台をはけて、戻る時、たまたまデニスの肩が僕に背中に触れた。すると彼が「ごめん」といった仕草をしてステージに向かっていった。マジックハンドのデニスと僕が触れた瞬間であった。ライヴが終ったのは23時29分だった。
ブルーノートウェッブ
http://www.bluenote.co.jp/art/20050110.html
(2005年1月12日水曜セカンド、東京ブルーノート=マイク・スターン・バンド・フィーチャリング・リチャード・ボナ、デニス・チェンバース・アンド・ボブ・フランセスチーニ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Stern, Mike/Bona, Richard/Chambers, Dennis/Franceschini, Bob