車椅子。
ライヴエイドがロンドンとフィラデルフィア、その他の地域で同時に行われたのは1985年7月13日のことだった。WOWOWはその頃はまだなかったはずだ。当時日本でも全編生中継された。どこが生中継したのだったか。NHKかな。たしか24時間に近い長い間、中継されたように記憶している。VHSのテープを3倍速でセットし、ひたすら録画した。たぶんそのテープは倉庫のどこかに眠っているはずだ。
アフリカの飢餓を憂いたイギリスのロック・ミュージシャン、ボブ・ゲルドフが84年、「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」を有志を集めて録音した。そして、85年1月、そのアメリカ版がクインシー・ジョーンズのプロデュースの元録音された。USAフォー・アフリカの「ウィ・アー・ザ・ワールド」だ。
そして、これらの動きが85年7月、イギリスとアメリカの会場で同時にライヴを行うという前代未聞の世界的規模のイヴェントに発展した。もちろん、これを超すイヴェントは19年後の今日まで行われていない。
この『ライヴエイド』は、音楽に力があるということを示すことができた最大のイヴェントであった。そのDVDがついに発売されることになった。今日の『ソウルブレンズ』内「山野ミュージック・ジャム」でご紹介する。
僕が個人的にこの中でベストシーンとするのは、決まっている。アシュフォード&シンプソンに付き添われ、車椅子で登場したテディー・ペンダグラスだ。フィラデルフィアの貴公子、テディーは82年3月、自ら運転するロールスロイスが事故を起こし、下半身付随となっていた。
彼が電動の車椅子で舞台中央に登場する。ヘッドセットにマイクがついている。十万人以上の観客を見て、彼は感激して言葉がでない。「ありがとう・・・。これは、すごいな」。そして、目じりをぬぐう。バックのバンドが静かに演奏を続け、テディーは「ここにこれて感謝している」と言い、ここにみなが集まった理由を今しばし考えよう、と言う。
そして、いきなり、「リーチ・アウト・アンド・タッチ~」と歌い出す。アシュフォード&シンプソン作、ダイアナ・ロスのヒットだ。後半、彼らがからむ。上半身裸の観客が身体を揺らす。この『ライヴエイド』の中でももっとも感動的なシーンだ。
DVDは4枚、ほかにソウルファンとしてはホール&オーツにエディー・ケンドリックス、デイヴィッド・ラッフィンがからむシーンがたまらない。
ライヴエイド、DVD輸入盤
Live Aid / Various (4pc) / (Dig)
ライヴエイド 通常盤
ライヴ・エイド (通常版)
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