来年度。
ロッド・スチュワートの新作『グレイト・アメリカン・ソングブックVOL.3』が11月6日付ビルボードホットアルバム・チャートに1位で初登場した。前作は2位、前々作(第一作)は4位が最高位だったから、3度目の正直でナンバーワンを獲得したことになる。
前2作ともひじょうに年齢の高い層を中心によく売れている。アメリカではすでにエルダー層(たとえば45歳以上の年齢層)が、ひんぱんにCDを買ったり、ライヴに行ったりするようになっているが、日本も徐々にそうなっていくのだろう。たとえば、先日のイーグルスやエリック・クラプトンなどはまさにそうした人たちもこぞってライヴ会場に足を運ぶ。
とはいうものの、アメリカのその層と比べ、日本はまだ絶対数はそれほどでもないのかもしれない。 このロッドのアルバムがアメリカで100万枚以上、売れるというのは、エルダー層が間違いなく購入している。そして、日本でこれが10万枚から20万枚売れるかというと、まだまだ微妙だ。前作はせいぜい1万5000枚くらいだというから、これからだ。
しかし、ノラ・ジョーンズがアメリカで300万枚以上売れ、日本でも50万枚を越えるとなれば、ロッドもアメリカ200万、日本で20万売れてもなんら問題ない。要は的確なプロモーションが、購買するであろう層に到達するか、ということになる。何もしないでそこそこ売れるものは、きちんと宣伝するともっと売れる。このロッドのアルバムは、まさにそんなアルバムだ。前2作は日本ではまったくの宣伝なしで埋もれてしまった。今作はぜひ、しっかり宣伝してたくさんの人に知ってもらいたい。
ノラ・ジョーンズ、あるいは、ナタリー・コールを買う人にこんどのロッドのアルバムはどんぴしゃだ。だから20代の人にもアピールしてもいいのだ。
ずっとロックンロールを激しく歌ってきたシンガーが、ふと自分が子供の頃聴いたスタンダードを歌う。すると、シンガーとともに年輪を重ねてきたリスナーがまた熱い声援を送る。シンガーはスタイルを変化させ、リスナーをあきさせることなく、その心をつかんだ。たとえば、日本では矢沢永吉が今、日本のスタンダードを歌うようなものだ。
そして、もうひとつ、このアルバムが1位になったのを機に、グラミーをぜひとってもらいたい。ロッドはこれまで7回ノミネートされているが、一度も受賞していない。同じイギリスのスティングの多数回受賞に比べると、雲泥の差だ。8度目の正直というか、スタンダード作3作目で、まさに3度目の正直か。91年のナタリー的な成功になるような予感がする。
と、思ったのだが、よくよく考えてみるとグラミーの今年度の締め切りは9月末日だったか。それ以降は来年度以降の扱いで、発表は2006年2月だ。あああ・・・。来年2月分も、無理ってことですね。それまでみんな覚えているかなあ。半年くらい売れつづければいいけどね。
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アルバム『グレイト・アメリカン・ソングブックVOL.3』に関しては、明日日曜の『ソウルブレンズ』内「ソウル・サーチン」(インターFM76.1、午後2時頃から)でも紹介します。
アルバムは11月24日に日本盤が発売されます。