Wolfman Jack Show: Wolfman Was True Radio Man

原点。

「ウルフマン・ジャック・ショウ」、無事大好評のうち放送終了しました。お聴きいただいた方、メールなど送っていただいた方、ありがとうございます。最初の2時間でウルフマンを知らない人のために、彼の生い立ちなどを簡単に紹介して、3時からいよいよ本編が放送されました。3時前でも、彼の一声が入ったジングルなどを曲のイントロに乗せるだけで、もうその曲はウルフマン・ジャックのショウになってしまいますね。あの声のインパクトの強さを改めて感じました。

そして、3時からほぼ1時間じっくり耳を傾けて聞いたわけですが、痛烈に感じたこと。まず、第一に無駄なしゃべりがない。音楽がほとんど途切れない。つまり、音楽番組である。音楽がすべてだ。DJの原点ですね。そして、第二に彼のDJとしてのキャラクターがひじょうに個性的で一度聴けば忘れられないほど際立っている。この2点が素晴らしいですね。ウルフマン・ジャックのキャラの特徴は、まったく気取ってないで、ストリートな雰囲気。例えば、マリファナかなんかしながらぶっとんだような会話、セリフが小気味よくぽんぽんと飛び出してくる。ボキャブラリーが、たくさんある。そんなこんなで、一瞬聴いただけでウルフマンとわかるキャラクターがあるわけです。

彼は、メキシコにあるスーパーパワーステーションからDJをやりました。しかし、ほとんど毎日テープに録音し、そのテープをメキシコまで運んで、それをオンエアーしていました。その出力は250キロワット。半端ではありません。日本のFM局は10キロ、AM局でも50キロが最大です。アンテナの近くを飛んだ鳥の死骸がいくつも地面に落ちていた、というほど、電磁波が強かったようです。北米全域にウルフマンのあの声は届きました。

そして、かける曲はみなウルフマンが選曲していました。今のようにプログラムディレクターがフォーマットを決め、かける曲を事前に決めるということもなく、ウルフマンのソウルを直撃したものだけを彼はかけていました。

さらに、ウルフマン・ジャックは優秀なセールスマンでもありました。自分で地元の小さな商店や、自動車販売店などに営業に回り、こまめにCM取りをしていたのです。

また、ウルフマンはシンジケートというラジオ番組のスタイルを作った初めての人物でもありました。つまり、それまで全米に同時にオンエアする番組はなかったのですが、テープに録音した番組を各エリアごとに独占で売り、全米の各地で放送するというスタイルを作り出したのです。ウルフマンはこのシンジケートのスタイルで作っていたために、彼の声がたくさん残っていたわけです。

彼のキャリアを振り返ることは、まさにラジオ業界の原点を見つめなおすことになります。ウルフマンは真の意味でラジオマンでした。そして、今の日本のラジオは、みんなしゃべりすぎね。僕たちも含めて。(笑) もっと黙れ、レストーク、モアミュージックにしましょう。

おそらく、10年以上も昔のDJ声にも関わらず、ウルフマン・ジャックってまだ生きているかのような錯覚に陥りました。

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