風格。
「The Diary Of Alicia Keys」という大きな日記をバックの壁にしたステージ。アルバム2枚だけでスーパースターになったアリシア・キーズ。1981年1月25日生まれの23歳は、すでに風格充分だ。
アリシア・キーズの2002年5月以来のライヴ(前回はプロモーションで来日して赤坂ブリッツでライヴ)は国際フォーラム超満員。音楽関係者多数。2枚のアルバムを出し、文字通りスーパースターとなってのライヴだけに、観客側の期待度もじつに高い。
白のパンツにジャケット、さらに帽子というカジュアルないでたちで中央7段ほどの小さなお立ち台から登場。その姿を見た瞬間、女マイケル・ジャクソンかと思った。ステッキを使うところなども、マイケルを思わせる。さらに3曲目ではジェームス・ブラウンのリフを使い、ここではどこかジェームス・ブラウン風。さらに「スローダウン」では、ひじょうにセンシュアルで色っぽく、しかもグランドピアノの上に上ってなまめかしい姿を見せた。ここは、実にプリンスを思わせる演出。さらに、途中にはスティーヴィーの「リヴィン・フォー・ザ・シティー」と「ハイヤー・グラウンド」を歌い、マイケル、ブラウン、プリンス、スティーヴィーと70年代ソウルの素晴らしきエッセンスをこれでもかこれでもかとりいれている。オリジナル曲も、どこもかしこも70年代フレイヴァーだ。よっぽど、70年代のソウルが好きなのだろう。
なにが素晴らしいって、その力強い歌声が見事だ。よく出ている声、よく通る声。この声だけでやられる。しっかり地に足のついたアーティストというオーラが漂う。
アリシアがピアノを弾きながら歌う姿もなかなかよい。ただ今回はフォーラムの音が全体的によくなかったように思う。特に彼女がピアノ・ソロをやる時の音は、音が割れているかのようにさえ聴こえるほど悪い。彼女がちゃんとしたパフォーマンスをしているだけに、もっと音がよければ、そこにどんどんと入り込めただろう。バンドメンバーはとくに可もなく不可もなく。なので、途中のアリシアが指揮者のごとく、バンドを仕切るところは不要。バンドの演奏だけを聴いてもしょうがない。
しかし、一方3人いたバックコーラスはみな素晴らしかった。それぞれが曲を歌ったが、おもしろいことに、2人の女性シンガーはアリシアと声質が似ていた。あれでコーラスをつけられたらトリプル・アリシアだ。また男性の声は高く、ファルセットもなかなかよかった。
ここまでオールドスクールを自分のものにしているこれほどまでに若いアーティストはなかなかいない。90分間ほとんど、70年代の香りを残していた。このようなアーティストの存在こそが、ブラックミュージックの歴史の鎖をつないでいくのだ。バトンが過去の先達から、今、アリシアに手渡され、彼女はゴールの見えない長い旅にでている。
Setlist
2004.10.18
show started 19:29
01. Karma
02. Heartburn
03. Give It Up Or Turnit Loose / Rock Wit U (“Jungle Boogie” Riff)
04. A Woman’s Worth
AK Piano
05. How Come You Don’t Call Me
06. Never Felt This Way
07. Butterflyz
08. Goodbye
09. Night Time Is Right Time To Be In Tokyo(?)
10. If I Ain’t Got You
11. (AK Conducting Band) Apach
12. Medley: The Life
Streets Of New York
Living For The City
Higher Ground
13. Slow Down
14. Diary
15. Fallin’
16. Back Vocal Medley:
My Lonely Days Are Over
Oh, Baby, Baby
Misty Blue
Special Lady
Encore. You Don’t Know My Name
show ended 20:59
(2004年10月18日月曜、国際フォーラムA=アリシア・キーズ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Keys, Alicia