NO.682 |
2004/06/18 (Fri) |
Footsteps Of The Master Of Dance, Nick Okai Explode |
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ダンサーが激しく踊るとき、その足元はどうなっているのか。動きはどうなのか。その動きをキャンバスの上に塗料で固定したい。そう思ったのが、ペインター・アーティストの岡伸昭さんだ。ソウル・ミュージックが大好きで、ステップの踊りも覚えていた彼が、そのステップの神様ニック岡井氏が踊る姿を作品にしたいと熱望した。 そして、できあがったのが前代未聞の、キャンバスに青い塗料で塗られた作品群である。これは、ニックが靴に塗料を付け、それぞれの曲にあわせて決まったダンスステップをキャンバスの上で踊ったもの。ニックの足跡が青い塗料の跡となって豪快に残されている。大きな作品(1940x3909mm)から小さな作品(1580x1180mm)まで二十数点、今日から新宿ビームス他で展示・即売されている。タイトルは、「アフター・ザ・ダンス/ノブアキ・オカ・エクスヒビション・フィーチャリング「ザ・マスター」ニック・オカイ」。6月17日(木)から8月17日(火)まで新宿ビームス6階のBギャラリー、渋谷区神南のタイムカフェ、福岡市中央区のルセント・カフェの3か所で同時開催される。 ぱっと見ると、青い塗料が確かに足跡となって、キャンバスを走っている。大きい作品はかなりのインパクトだ。岡さんは言う。「前々からダンスが好きで、そのダンサーの足元というのに興味があったんです。いろいろなところでみんながかっこよく踊ってるのを見ると、リアルタイムで知らなかった僕は、そういうのをリアルタイムで知っている(自分よりも年上の)人たちがとってもうらやましく思えたんです。まあ、確かに足フェチかもしれませんね。(笑) で、踊る人の動きを何か作品にしたいと思った。そして、どうせ踊る人を頼むのだったら、一番好きなニックさんにお願いしたいな、と」 ニックが言う。「最初(話を)きいた時は、なんだろな、と思って。別に僕じゃなくてもいいんじゃないかと思ったけど(笑)、岡君が『これは絶対ニックさんじゃないとだめなんです』って言われて、やる気になったんだ。ペンキ付けるとさ、(足が)すべらないんだよ。(笑) けっこう大変だったけどね」 当日はスタジオで約4時間半にわたってレコードをかけ、踊った。例えば、一番大きな作品「ポップコーン」は、ジェームス・ブラウンの「マザー・ポップコーン」のライヴ・ヴァージョンを使って踊った。約5−6分で3枚のキャンバスに「足跡」を残した。それらの踊っている模様は、ヴィデオに収録され、大型の作品を購入される方にはついてくる。値段は最大のものが90万円、最小のもので6万円など。 その足跡は、色鮮やかのブルー。岡さんが言う。「ブルーが大好きなんです」 作品の天地がわかるように、岡さんとニックがそれぞれサインと、タイトルを書き入れた。「NO04」と書かれた文字。「ナンバー・フォー」かと思ったら、違った。伸昭・岡の頭文字、「NO」と2004年の「04」だそうだ。 「昔から、この新宿3丁目(ビームスのビルがあるところ)は、ダンスのメッカというか始まったところだという雰囲気があるんですよ。ニックさんがやってた(ディスコ)ゲットは、すぐこの近くでしたしね。で、ここからダンスの歴史みたいなものが始まったとすると、それをこの作品の中で表現したいなと思いました」と岡さんが言う。 大きく飾られたキャンバスに残された青い足跡をじ〜〜と見ていると、ニックが踊りつづけた50年の足跡に見えてくる・・・。かな?(笑) ニックが言う。「踊った後には、それを見るだけじゃ、どの踊りで踊ったのかもうわからなくなっちゃうんだよ(笑)。だから、すぐダンスの名前を書いとかないとね。(笑)」 ニックと一緒にキング・オブ・ソウルで活躍のマイケル曰く「オレがやっても、ニックがやっても、違いはわかんないと思うよ(笑) ははは」。 芸術的に動いているものの瞬間を捉えて、一枚の作品に固定すれば、それ自体が芸術品になる。ダンスマスター、ニックの足元が芸術的に動く瞬間、その足跡は芸術になる。芸術は爆発する。キャンバスのブルーの飛沫(しぶき)は、ニックの足の爆発の記録だ。 関連ページ ENT>ART>Nick Okai / Oka, Nobuaki |
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA |