NO.630 |
2004/05/02 (Sun) |
Movie "Drumline": Another Field Of Dreams |
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映画 『ドラムライン』 を見てきた。渋谷のシネクイントは、227席の小規模な映画館。土曜日ということもあってか、けっこうはいっていた。ヒップホップ界の大物ダラス・オースティンの自伝的映画でもあるという。 ニューヨークに住むデヴォン(ニック・キャノン)は、音楽の才能を持った男。そのドラムのセンスを認められ、南部のA&T大学に奨学金付きでの入学を誘われる。そこでめきめき頭角を出すが、自身に対して大きな自信を持っていることから、回りのメンバーたちと衝突する。 舞台は大学のフットボールの試合のハーフタイムに行われる各大学のドラム・チームのバトル。デヴォンのドラムの才能は誰もが認めるが、様々な紆余曲折が巻き起こる。楽譜が読めないことが発覚し、デヴォンはチームから首になってしまう。果たして、彼なしでドラム・バトルを勝てるのだろうか。 ストーリー、映画としては一般的というかB級なものだが、マーチングドラムのライヴ映像は圧倒的だ。このドラムの演奏を見るためにだけでも、チケット代を払う価値はある。このバトルというコンセプトは、ブラックカルチャーの中でなんにでもあてはまる。例えば、その昔だったら、ドゥワップ・グループが街角で、ドゥワップを歌ってバトルしていた。それから四半世紀を経て、ドゥワップは、ラップになって、街角ではラッパーたちのバトルが起こった。もちろん、ブレイクダンスのバトルもある。ダンスもある。 ひとつのことを極め、そのフィールドでひじょうに高いレヴェルで技を競い合うということは、とても健全なことだ。そして、なによりこのドラムラインの迫力には、まいった。そして、思うことはただひとつ。ドラムはすべてのリズムの源。 気に入ったセリフがあった。マーチングバンドを率いるリー監督がメンバーに対して言う。メンバーは若いので、ヒップホップ系のアーティストの作品をやりたいと思っている。だが、リー監督は、イー・ダブリュー・エフの曲をやると宣言する。イー・ダブリュー・エフ、EWF、すなわちアース・ウィンド&ファイアーだ。監督は言う。「みんな、アンジー・ストーンをやりたいのか。スヌープの曲をやりたいんだろう。LLクールJをやりたいのか」 メンバーはうなずく。監督がきっぱりいう。「そういう連中はみなこのEWFの影響を受けているんだ」 そして、彼らが一生懸命練習するのが、80年の作品「イン・ザ・ストーン」だった。 ドラムライン、その戦いは大きなフィールドで。まさに青春のもうひとつのフィールド・オブ・ドリームスだ。 そして、僕個人としては、ドラムに焦点をあてた場合、これまでに、ミュージカル『ノイズ&ファンク』や、最近のシーラEのライヴが、つながってくる。『ノイズ&ファンク』で感じたこと、シーラEのライヴで思ったこと、それと同じ思いを僕はこの『ドラムライン』でも感じた。それぞれ出し物は違うのだが、ドラム、リズムという点において、これら三者は見事に一本の線でつながった。 (映画 『ドラムライン』 、渋谷シネクイントなどで公開中) 『ノイズ&ファンク』ライヴ評・2003年3月22日付け日記 Bring In 'Da Noise, Bring In 'Da Funk: Soul explosion! http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200303/diary20030322.html シーラEライヴ評 2004年4月10日、4月11日付け日記 Sheila E Live @ Duo: Heartbeat From Ancient Times http://www.soulsearchin.com/soul-diary/little_diary.cgi?page=20 (日にちが進むとページが変わりますので、当該の日付をお探しください) 映画についての一般情報。公開映画館、感想など。 http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail?ty=mv&id=318676 ENT>MOVIE>REVIEW>Drumline |
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA |