NO.496 |
2003/12/31 (Fri) |
Everything Started From "Soul Searchin' " & Still Goes On |
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今年最後の日です。2003年、いやあ、たくさんいい音楽聴きました。CDも、そして、なによりも多くのライヴで。最後の最後にスティーヴィー・ワンダーというとてつもないライヴのプレゼントでした。75年以来、何度見てきても、毎回新鮮な発見と感動があります。 もちろん、ライヴですから、そして、人間がやるものですから、その日がいいできの場合もあれば、普通の日もある。そして、できが悪い日もあれば、ものすごく最高の日もあります。その最高の日に遭遇すべく日々ライヴに通うわけです。最高のものはなかなかないものです。そんなに最高は安売りされません。 何年もライヴに行ってれば最初に覚えた感動と同じ物を得ることはできなくなるかもしれません。しかし、逆に積み重ねがその人の感性の血となり肉となり、さらに違う種類の深い感動の存在を教えてくれます。そこに到達するにはひたすら積み重ねるしかありません。 ある映画を最初に見てものすごく感動したとします。二度目に見たときも同じように感動できるかもしれません。できないかもしれません。しかし、その時一度目では気が付かなかったものを知り、別の面で感動できるかもしれません。その二度目の感動は一度目に比べて度合いが薄かったとしても、違う種類の感動が提供されているのです。それは一度目を経験し、一度目が家の土台のようになってからの二度目だからこそ得られる感動なのです。回数を重ねれば重ねるほど、土台が厚くなっていきます。 スティーヴィー・ワンダーのライヴを75年に初めて見た時、どれほど感動したか、僕はもう昔のことなので正確に覚えていません。感動する余裕もなく、ただ圧倒されたということをおぼろげに覚えています。たぶんスティーヴィーの音楽を受け入れるキャパシティーみたいなものがなかったのかもしれません。(84年初めてプリンスを見たときも同じでした) しかし、それ以来何度も彼のライヴに触れ、彼の音楽を理解するようになり、どんどん感動の度合いが増えてきたような気がしています。それはきっとその土台が厚くなっているためだと思います。時に出来が悪いライヴに遭遇してしまうと感動できない日もあるかもしれません。それはライヴですから仕方がないことです。しかし基礎となる土台は確実に固まっているのです。 例えばこういうことなのでしょう。初めは「レイトリー」はメロディーのすごくきれいないい曲だと思って聴いています。でも、その歌をただ聴き流すのではなく、じっくり歌詞カードを読んで、何度もCDを聴いてその意味を知ってからライヴに臨めば、感動の度合いもひときわ大きくなるはずです。スティーヴィーの一言一言のニュアンスに感じ入ることができます。それはそうした知識を持ったからこそ得られる感動です。知ったからこそ得られる倍増の感動というわけです。だから知ることを恐れることはありません。 今年聞いた言葉でもっとも気に入った言葉は、アーマッド・ジャマルのこの言葉です。「宝石はなかなか見つからない。掘って、掘って、掘りまくらないと (Jewels are hard to find--you have to dig.")」 http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200310/diary20031029.html ライヴもたくさんありますが、本当に輝けるものは数少ないものです。それを探すためにはたくさん行って、ディッグ(掘ること)しないと。 スティーヴィーのライヴは、まさに疑うことなく宝石(Jewels)です。今回初めてスティーヴィーのライヴに行かれて感動された方が多数いらっしゃってBBSに書き込まれています。そうした書き込みを読んでいると、改めてその日のライヴのことがよみがえり、感動が再生されて嬉しくなります。この人はこの曲で泣いたんだとか、別の人はあの曲で胸が一杯になったんだとか。 今後もぜひ、2回、3回と足を運ばれてください。その度に新たな発見や、新たな感動を得られることをお約束します。1度目を知り、2度目を経験してからこそ得られる3度目の感動が生まれます。初めてより倍増の2度目の感動が、3倍増の3度目の感動がくるかもしれない、スティーヴィーのライヴというのはそれだけの価値がある非常に稀なものなのです。 +++++ 感謝。 スティーヴィーの空気に触れて改めて確認したことがあります。しばらく忘れていました。毎回彼のライヴに行ったあと感じていたこと。それはなぜ彼のライヴを見るとものすごく感動するのか。なぜ多くの人がこれほどまでに涙を流すのか、ということです。 その答えは彼が無条件にすべてを与えているということなのです。ギヴ&テイクではなく、ギヴ&ギヴ&ギヴなのです。ギヴ&テイクならまだしも、テイク&テイクな人も蔓延する今日の世界ですが(そのために戦争はなくならない)、スティーヴィーは常にそこにいる人にすべてを与えています。特に、彼は幅広い意味での愛を、ものすごく大きな愛を与えています。それを僕たちは受け取るから嬉しくなり、時にはその喜びに涙するのです。そう、彼のライヴを見た後はいつも自分も彼のようにギヴ&ギヴになろうと思っていました。でもだんだん時が経つと忘れがちになるんですね。こういう世の中ですからね。(笑) ですが、今回また彼のオウラに触れて、気持ちはギヴ&ギヴ&ギヴな感じです。 去年の10月6日から続いているこの日記も今日で452日連続になりました。自分でもよく続くなあと思います。これもひとえにこのウェッブを読んでくださる方がいるからです。読者の皆さんに大きな感謝を。そして、毎回テーマを提供してくれるミュージシャンたちや話題の人々や僕にインスピレーションを与えてくれる人々へ感謝を。 さらに、特に今年も多くのすばらしいライヴを体験することができました。まずはそのすばらしいライヴを見せてくれたミュージシャンたちへビッグアプローズを。そして、それらを見させてくれた多くのプロモーター、会場関係者の方々へ改めて大きな感謝を。また、そうした感想文を発表する場を与えてくれた媒体関係者の方々へも感謝。最後に、僕とともに多くのソウルサーチンの旅に同行してくれた多くのソウルメイトたちへも大きな感謝を捧げたいと思います。You know who you are. I love you all. すべてはソウルサーチンから始まりました。(←このフレーズ、お気に入り) あなたはどこかであなたのソウルを探しましたか? この旅は来年も続きます。この日記が、あなたのソウルサーチンの手助けとなることを願って・・・。 ENT>MUSIC>LIVE>Wonder, Stevie |
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA |