NO.416 |
2003/10/15 (Wed) |
Kill Bill (Vol.1): Tarantino: The Best Director In Hip-Hop Way |
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+++++ 服部半蔵。 サニー千葉(千葉真一)がサイコーにおもしろい。 ルーシー・リューの日本語がサイコーに笑える。 ユマ・サーマンの殺陣がサイコーに楽しめる。 栗山千秋がサイコーに怖い。 梶芽衣子の歌「修羅の花」(英語タイトル The Flower Of Carnage )がサイコーに雰囲気を盛り上げる。 クインシー・ジョーンズの「アイアンサイドのテーマ」がサイコーに緊張感を高める。 タランティーノは、映画界サイコーのヒップホップ・アーティストだ。 クエンティン・タランティーノの98年の『ジャッキー・ブラウン』以来5年ぶりの監督作品 『キル・ビルVol.1』 を見た。主人公ザ・ブライド(ユマ・サーマン)は元殺し屋。仲間から離れ結婚式をあげているところを、殺し屋仲間に襲撃され銃弾を撃ちこまれるが、4年間の昏睡状態を経て奇跡的に一命を取り戻す。生き返ったザ・ブライドは彼女を襲撃した仲間に復讐を始める。仲間のボスの名はビル。したがって、彼女の命題は「キル・ビル(ビルを殺せ)」。さて、その方法は・・・。 それにしても、このテンポ感というかリズム感。さすがですね。これだけ和物が入って冗長になりそうにもかかわらず、まったくスピード感が落ちることがない。「ゲロッパ」がどうしても、歌謡曲のリズムの映画であるのに、この「キル・ビル」は洋楽、それもソウルのリズムだ。 そして、数多くの昔の映画のいいとこ取りをする手法は、ヒップホップのサンプリング手法とまるで同じだ。そこには、彼が大好きなマカロニ・ウェスタン、カンフー映画、日本のアニメ、日本の時代劇などの要素がサンプリングの如くうまくちりばめられている。タランティーノは、その点で充分にオルタナティヴでヒップホップな監督と いえる。 相変わらず音楽の使い方がうまい。雪の決闘シーンでのサンタ・エスメラルダの「悲しき願い(ドント・レット・ミー・ビー・ミスアンダーストゥード)」、ユマ・サーマンに怒りがこみ上げる瞬間に流れるクインシー・ジョーンズの「アイアンサイドのテーマ」などさすが。「アイアンサイド」を聴いて「新聞によりますと〜」を思い出す人は40代以上、これからはユマ・サーマンを思い浮かべる人が出てくるんでしょう。 細かいところでおもしろくて笑えるところはいくつもあるのだが、一番気に入ったのはサニー千葉とユマ・サーマンの沖縄のすしバーでのやりとり。ユマが主演賞なら千葉に助演賞をあげたいところ。タランティーノが、カメラの後ろで自分自身笑いをこらえながら演出している姿が思い浮かんだ。 なんと撮影を始めたらどんどん長くなってしまって、結局、2部作になってしまったというこの作品。 『キル・ビルVol.1』 が10月25日日本公開、そして、この続編は来年春の公開になるという。 『キル・ビルVol.1』 のエンディング・クレジットが出たとき、「あれえ、ここで終わりかよ」と思わずうなった。途中で終わらないでおくれ。3時間一気でもよかったよ。B級映画を超A級映画の予算で撮影して、ヒップ・ホップ的スピリットを持つ超B級の作品にしあげた。 でも、たくさん血飛沫(ちしぶき)が出るので、そういうのがお好きでない方、心拍数が上がることを好まれない方にはお勧めできないかもしれません。(笑) ザ・ブライド(ユマ・サーマン)が、沖縄のすしバーで主人(千葉)に人を探している、と告げる。主人が訊く。「それは誰かな?」 ザ・ブライドが答える。「ハットリ・ハンゾー・・・」 それはその主人のことだった。 http://www.killbill.jp/ ENTERTAINMENT>MOVIE>Kill Bill Vol.1 (2003年10月14日・試写会) 映画 『キル・ビル(Vol.1)』 (配給ギャガ・コミュニケーションズ) 2003年10月25日から公開。 タイトル:ヒップ・ホップのスピリットを持つタランティーノ |
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA |