NO.240
2003/04/30 (Wed)
Knocking on Father's Door
扉。

春眠暁を覚えず・・・。昼間も眠いし、夜も眠い。さすがゴールデンウィークです。いい天気です。さてそんな前置きはおいといて。この日記では、自分が日々ソウルを捜し求めて探したものについて書いたり、ニュースでこれはというものを書いたりしていますが、今日はしばらく前からずっと書きたいと思っていたこんなネタを。

レイラ・ハザウェイがこのところ、ダニー・ハザウェイのアンソロジーのアルバムを聴きまくっているらしい。このアンソロジーはまもなく発売されるもので、35曲ほどダニーの作品が収録されているもの。未発表曲なども収録されている、という。

そして、このアドヴァンス・コピーを手に入れたレイラはずっと聴いている、という。レイラは自らのホームページで、このアルバムを熱心に聴き、父親のことを誇りに思い、これまでに聴いたどのアルバムよりもすばらしいものだ、としています。

http://www.lalahhathaway.com/cgi-bin/viewmessage.cgi?r=15639&l=level2

レイラのオフィシャルホームページのGumboというコラムの4月17日付にのっています。
そして、なんと、その次の4月27日付けでは、最近の自分のトップ10アルバムも発表してます。ほかにも、トップ10映画とか、いろいろあっておもしろい。

http://www.lalahhathaway.com/cgi-bin/viewmessage.cgi?r=15642&l=level2

ベスト10は以下の通り。

I reserve the right to change it tomorrow!!!!

1. Donny Hathaway- Extensions of a Man (original version)
2. Donny Hathaway ・The Anthology
3. Miles Davis ・Kind of Blue
4. Donald Fagan ・The Nightfly
5. John Scofield ・Still Warm
6. Joni Mitchell ・Mingus
7. Michael Franks ・Passionfruit
8. Stevie Wonder ・Innervisions
9. Shirley Horn ・Here's to Life
10.John Coltrane ・Ballads

彼女も、明日には変わるかもしれません、と但し書きつけています。

で、これだけですと、ただのウエッブ紹介で終わってしまうので、そこに僕なりの味付けをしたいわけです。

レイラには90年6月と2000年11月の2度インタヴューしたことがあります。その後者で、「ナタリー・コールは父親とのゴーストデュエットを録音しました。あなたもそのような曲を作ることはあるでしょうか」と質問しました。ファンならレイラが歌う父親ダニーの「サムデイ・ウィル・オール・ビー・フリー」とか、「ゲットー」、「リトル・ゲトー・ボーイ」、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」などをデュエットで聴いてみたいと思うのは当然です。

そうしたら、「いや、私はやらない。(absolutely not)。 もちろん、ナタリーはすばらしい仕事をしたと思うわ。でも、私の声と父の声がデュエットするのは、しっくりこないわ」と答えました。もちろん、ライヴなどで父親の曲を一曲くらい歌うことはあるかもしれないが、フルアルバムを作ることはしない、と断言したんです。「アブソルートゥリー・ノット」はずいぶんと強い調子の否定でした。

そのとき僕は思いました。「まだもう少し時間がかかるみたいだな」と。ナタリーも、父の曲をやるまでにデビューから16年もかかっているんですね。「アンフォーゲッタブル」を録音したのは、ナタリーが41歳のとき。ナタリーも最初は、父親を、父親の音楽を拒絶するところから、自らのキャリアをスタートさせたわけです。ところが、様々な浮き沈みを経て、彼女がたどり着いたのは父親の音楽だった。レイラは90年デビュー。ナタリーと同じく16年かかるとしたら、2006年くらいに、父親の曲ばかりを歌うアルバムを出すのではないか。41歳だったら2009年でしょうか。だから、まだ時期尚早なのかもしれない、と感じたわけです。

でも、僕は絶対彼女は、そういうアルバムを作るのではないだろうかと、そのとき確信しました。理由はありません。ただ彼女と面と向かって話をして、そう感じたのです。彼女は2000年の時点ではまだその気持ちができていないが、なにかあれば、いずれそうなるだろう、と。

その最大の根拠は、彼女が父親ダニー・ハザウエイの音楽を否定していない、ということでした。彼女が、もし父親の音楽が大嫌いだったら、それをカヴァーすることなどありえないでしょう。しかし、彼女はダニーの音楽が好きなようでした。ただ、彼女が現時点で彼女が歌っているタイプの音楽と、ダニーの音楽に接点が少ない、もしくは、彼女が父の歌を歌う整合性がない、と感じている、と僕は思ったのです。だから、そこに整合性がでれば、あるいは、そんなこと、どうでもよくなれば、一気にダムは崩壊するだろう、というわけです。

しかし、そこまでに行くのに時間がかかるのは充分理解できます。機が熟さなければそうした動きは起こりません。

なんといっても、誰もがダニーの音楽はすばらしいと感じている。誰もが少しはそのダニーの曲を歌ってみたいと思う。そして、そのダニーが自分の父親だったら、他のシンガーが歌うのをただ指をくわえてみている場合じゃないでしょう。灯台下暗しの状況で、下を照らした瞬間、灯台の本当の価値を知るのではないでしょうか。

そんな前提があって、この書きこみが飛びこんできたのですから、すわ、いよいよか、と期待が膨らんだとしても、おかしくありません。どうでしょう。では、彼女にどの曲を歌ってもらいたいか。勝手にリストを作りましょう。

Flying Easy, Ghetto, Giving Up, Hey Girl, I Believe In Music, Little Ghetto Boy, Love, Love, Love, Someday We'll All Be Free, To Be Young Gifted & Black, Valdes In The Country, Voices Inside, What's Going On, Where Is The Love, You've Got A Friend, Back Together Again, You Are My Heaven, Only Heaven Can Wait, This Christmas, etc.

まあ、ゴーストデュエットはともかく、レイラの歌によるダニーの歌の数々は、聴いてみたいですねえ。きっと、そのアルバムは彼女にとっての最大のヒット作になるでしょうね。彼女のBBSにでも書きこんでみましょうか、リクエスト曲を。

彼女が父親の扉をノックし、父へ一歩一歩静かに歩み寄っていく音が聞こえてきます。


+++


April Update - added on April 17, 2003 at 05:36:10

HEY KIDS!!!!

I have been consumed with my advance copy of Donny Hathaway; The Anthology.
This has got to be one of the most beautiful things I have ever heard. My father sounds so young and vibrant, so full of promise.
There are 35 songs, including some of the big hits with Roberta, and some actual unfinished working demo's...
There is a version of Stevie Wonder's "Superwoman" which is to die for. I cannot wait for all of you to hear it. It truly makes me proud, and inspires me to work harder.

Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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